医薬品ができるまで  / ホーライ製薬 / ハードボイルド・ワンダーランド日記

ホーライの治験日記(9)

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非倫理的な治験にもっと自由を!

僕だけだろうか?
今、治験の世界に息苦しい閉塞感を感じているのは。

治験は人体実験だからもちろん、厳しい監視のもと、一定のルールを設けて実施しないといけないのは十分に理解している。


治験の活性化が叫ばれて久しいが何かが変わっただろうか?

もちろん、CRCの方が増えた。これは喜ばしいことだ。
医師主導の治験もできるようになった。

でも、僕は治験に対して開放感がというか期待感が全然感じられない。
これは僕の個人的な感想ならいいんだけれど。

何故、僕がそう感じているかというと、新薬がなかなか出ないからだ。

治験の推進システムが完璧だとしても、そのシステムを使うための新薬の卵が無いと、どうしようもない。

もちろん、少しずついい薬ができているけれど、ゲノム解析が進んだわりには「これは!」というものが出てこない。


人類が火を自由に扱えるようになってから、地球上の(人類が罹患する)病気が減ったのだろうか?
もちろん、人類の今の人口を考えると、今のところ、病気との闘いは僅差でリードしているのかもしれない。

しかし、個人にしてみたらどうだろう?

治療はおろか、原因すら不明の病気もまだまだ多い。

「わしさん」が罹患している脊髄小脳変性症やホーキング博士のALSなど難病には未だに決定打という薬も治療法も無い。

かつて「わしさん」は言っていた。(きっと今も言っているだろう。)
「倫理が邪魔をする」と。

彼の息子さんに自分の病気が遺伝しているかどうかを調べて欲しいと医師に伝えたところ、病院の倫理委員会から許可がでなかったと嘆いていた。

患者を一方的に弱い立場と決め付けないでくれとも。


あ〜ぁ治験の依頼書の誤字や間違いもいけないけれどさ、なんか違うんだよね。
患者さんが待っているのは「私の病気を治してくれる薬、治療法の出現」なのだ。

こんなことを書くとみんなに怒られるけれど、IRBのメンバーが一人不足していたからといって、それでGCP違反だと言って新薬の開発が遅くなるというのも僕は心の底から納得していない

社会的な貢献よりも個人の尊厳のほうを尊重するのなら、個人を救うための治験を、新薬の開発をもっと自由に活発にできないものだろうか。


きっと、僕は何かをはきちがえているのだろう。
新薬の卵が生まれないのはそんなところに理由があるわけではない。

でも、治験を覆うこの閉塞感は一体なんだろう?


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『モチベーション問題』の解決方法と創薬ボランティア

千人いれば千通りの答えが返ってくるモチベーションを上げる方法。
ある人は給与、ある人は職位、またある人は充実感。
なかには職位は上げて欲しくないけれど、充実感だけは絶対に欲しいという人もいるだろう。(僕がそうだ。)
責任ばかりが重たくなって、その割には給与が軽いのは嫌だという人もいるだろう。(僕がそうだ。)

答えが各人各様にあるモチベーションを上げる方法をどうクリアしたらいいのだろう?
一律に給与をアップします、賞与をアップします、職位を上げます・・・でいいのだろうか?

1つの解決方法として、仕事の報酬を選択式にする方法が有る。

例えば100万円の賞与の代わりに一ヶ月の有給休暇が欲しいとか、職位が上がれば給料が1.5倍になると言うのは嫌だけど、職位をそのままで給料が1.3倍ならいいです、とか、報酬アップよりも職場環境を変えて欲しいとか、まぁ、いろいろとある。

これらのことは、やろうと思えば実際にやれないことはない。
特に自分から言い出した場合は、わりと要求が通りやすい。(というか、通したことがある。)

会社の押し付けのニンジンよりは自前の飴のほうが、モチベーションは上がると思うが、どうだろうか。

閑話休題。

治験において、治験責任医師や治験分担医師のモチベーションを上げる方法はいろいろと検討されているが、創薬ボランティアの皆様のメリットはどうだろうか?

あるアンケートによれば治験に参加することにより金銭的なことよりも、医療が濃厚になったという創薬ボランティアの感想が多かった、とのこと。

これは、果たして治験参加のメリットと言えるだろうか?
僕は言えないと思う。
何故なら、治験に参加したら医療が濃厚になったということは、通常の診療が希薄だということの裏返しでしかない。
それなら、通常診療をもっときちんとやってくださいよ、というのが正論ではないだろうか?

僕は創薬ボランティアさんたちの本当のメリットを思いつかない。
特にプラセボや低用量が入る治験においてはなお一層、思いつかない。

結局のところ、やはり、ボランティア精神しかないのだ。

僕たちは、そのボランティアの人たちを蔑ろにしていないだろうか?


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2006/03/04
答えは無数に有るのに超難問。それが『モチベーション問題』だ。

例えば治験を担当しているモニターの皆さんのモチベーションを上げる方法を考えてみよう。

まず『モニター』という職業を一般的に考えた時に、モチベーションが向上するだろうか?

これは間違いなく向上する。
何故なら、モニターは新薬開発の担い手として第一線で活躍する職業だからだ。
僕などは常々「治験が成功するも失敗するもモニター次第だ」と周囲に言っている。

では、モニターをやっている人が全てモチベーションの固まりか?と言うと、そうでもない。

今度は、そのモニターが所属している組織に関連してくる。
製薬会社なのか、CROなのか。大手なのか、弱小なのか。

さらに、自分が担当してる治験薬によってもモチベーションが左右する。
画期的な新薬なのか、それとも二番煎じなのか。

また、個々のモニターによってもモチベーションが上がると感じるモノが違ってくる。

例えばAさんは「画期的な新薬の開発に携わることが私のモチベーションに繋がる」と言っているし、Bさんは「給料を上げてくれればいい
よ」と言っているし、Cさんは「達成感が欲しい」と言っているし、Dさんは「社会的に地位が高いポジション(例えば部長職)につきたい
」と言っている。

・・・・・・というように考えると、モチベーションを上げる方法は無数にあるのだが、それをうまく個人に当てはめるのが難しい。

この難しさこそが『モチベーション問題』の本質だ。


2006/03/01
会社はディベート会場では無い

ビジネスは交渉の連続である。
それはまた治験の現場で同じだ。

「交渉」と「ディベート」は違う。
データをもとに話し合うのは似ているが、最終の目的が異なる。

ディベート大会などでは相手を「言い負かす」ことが目的になるが、交渉は「成立する」ことを目的にしている。

社内の会議でも交渉と同じように相手を「言い負かす」ことが目的ではない。
社内会議の目的は会社をいかに良くしていくか、というようなことが一般的に共通の議題としてあるだろう。

ここで共通の議題と書いたがまさに、社内会議ではある共通の議題(課題、問題解決)を論じることにより、一人で考えている時よりも「より良い答え」を求めたり、「考え違い、論理に抜けは無いか」を確認することになる。

ところが得てして社内会議なのに(いや、社内会議だからこそか)、相手の議論に勝つことばかりを考えている人が往々にしている。

そんなことで「議論」に勝っても、なんら生産的なことはない。
より良い解決を導くための議論ならいいのだが「相手を言い負かそう」としている議論は、はたから見ても「見苦しい」。
いったい、この人は何をしたいのだろうか?と思うこともある。

議論に勝っても相手は憎しみしか感じない。そしていつか借りを返そうと思っている。
機会が有ると「京の敵を長崎で討つ」みたいになる。

大事なことは「自分の意見を通す」ことではない。(ましてや相手を議論でねじ伏せることでもない。)

大事なことは「何をどうするか」という事実だけだ。
それなのに、せっかくのいいアイディアも「あいつが言うなら反対」みたいに、まるで国会のような場面も見たことがある。


それに付き合わされる周囲の人も、とんだ時間の無駄遣いだ。
僕はそんなことに時間を使っているほど、もう余裕は無い。


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2006/02/19
白紙委任状を出さない

製薬業界はときどき当局に「判断を委ねる」ということをやる。
それは「思考停止」行為だと思う。

まずは自分たち(業界、あるいは個々の会社)で理論構築し、行動することだ。

GCPやガイドラインが出ると必ずQ&A集が出る。
ときに、それは自分たちが作り、それをもって当局に監修してもらうこともある。

これって、本当にいいのだろうか?(まぁ、僕が以前、勤めていた会社ではそんなQ&A集なんて当てにしていなかったが。)

Q&A集を作ることで自分たちが自分たちの首を絞めることもある。


もっと悪いのは白紙委任状を出す、ということだ。

大昔、ある疾患の新薬臨床評価ガイドラインで被験者の数は適宜、決めること、とあり、「適宜」では困るから、いったい、どれ位のなのか、目安を公表してほしいと、業界筋から当局へ頼んだ。

当局はそれではと、「概ね●●例」が望ましい、という見解を出した。

すると、またその具体的数値が臨床試験の足かせになっているので、その例数でなくても構わないことを確認したい、という質問が業界側から出た。

いったい、何をやってんの? ・・・・・・と、その当時、僕は思った。


もし、白紙委任状を出すのであれば、どんな結果が出ても文句を言わないことだ。

逆に結果に文句を言うくらいなら、白紙委任状を出さずに、自分たちで決めることだ。


自らの思考を停止して、判断も委ね、さらにその判断に文句を言う。

そんなこと、もうやめようね。(やめているのならいいのですが。)


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2006/02/12
手段と目的

ときどき僕は手段と目的を履き違えることがある。

例えば「ロジカルシンキング」方法や「プレゼンテーション」方法を研修で教えるが、これらは仕事の目的を達成するための手段であり、目的ではない。

どんなにロジカルシンキングの方法を教えたところで、それを利用した仕事の目的達成方法を伝えない限り、研修は単なる豆辞典的知識吸収の場でしかない。


治験は手段であって目的ではない。

僕たちが行っている治験は治験のための治験ではなく、あくまでも新薬を製造販売する目的で行っている。
また、新薬を製造販売する目的は病気で苦しむ人たちに使ってもらうためで、その代償として金銭を頂いている。

僕たちが考えないといけないのは、治験を行うだけのフレーム作りではなく、新薬を製造販売するに足るであろうデータを集めるために行う治験のフレーム作りだ。

この両者はどこが違うのか?


治験を成立させるためにはGCPでいうところの創薬ボランティアの人権と安全と福祉を守りつつ科学的なデータを収集するフレームが必要だ。

しかし、治験を行うだけのプロトコル、CRF、同意取得のための説明文書も有る。
たとえば製薬会社が株価を維持するために新薬開発計画やパイプラインを公開する。
その公開された計画を守るためだけに治験を行うことも物理的には可能だ。

もし、実際にそんなものが有ったとしたら、それは不要な治験である。
僕たちに必要不可欠な治験ではない。


治験は人体実験だ。
必要不可欠な治験だけをやるべきだ。


給料のためだけにやる治験は不要で、危険で、非人道的だと言える。


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2006/02/05
クレジットレベルを上げる

村上龍の本に、今や有名になった「13歳のハローワーク」という本が有る。


13歳のハローワーク


この本では従来の職業・就職本と違い、仕事に対する賃金などの紹介や社会的地位では無く、自分がどの職業に向いているか?という観点で仕事を選ぶ、という姿勢が貫かれている。

つまり、社会的に見て一流の会社だから、とか、給料がいいから、とかではなく、13歳のあなたは何が好きか? その好きなことを生かすとなると、社会でどのような職業が有るか?ということを紹介している。
(ちなみに『小説家』の紹介文は面白く、かつ、思わず納得してしまった。)


同じく村上龍が書いた本で「人生における成功者の定義と条件」という本がある。

人生における成功者の定義と条件


この本も僕は大好きで、以前、GCPメルマガで紹介したこともあるはず。

この本の中で、村上龍と対談者は人生における成功者とは「自分の生き方に満足している」、「好きなことをして暮らしている」という方向を示している。


さて、前振りが長くなったが、先日、この治験日記をご覧頂いているある方からメールをもらった。
そのメールで面白いサイトを教えて頂いた。(貴重な情報を教えて頂きました。この場を借りて、そのメールの方にお礼を申し上げます。)

「13歳のハローワーク」の公式サイトだ。

中でもその方から教えて頂いた項目が興味深かった。

それは「勉強することにどんな意味があるのか?」というページだ。

このページにこういうフレーズが有る。
「キミがこれから生きていく上で大切なのは、自分の「クレジット(『信頼と共感』と言ってもいい)」のレベルを上げていくこと。」

確かにそのとおりだ。
僕らは無人島で暮らしているわけではない。
多くの他人の中、社会、会社、組織というものの中で暮らしている。

今更言うまでも無いが「クレジット(『信頼と共感』)」は、社会の基盤だ。
どんな会社で働いていようと、どんな職業に就いていようとクレジットがないとやっていけない。


信頼についてはここ2週間ほど連続して書いているが「共感」も大切だ。(恋愛では二人の心と体の「共鳴」が大切だ。)

共感できる人がいると、それだけで嬉しいし、会社に行くことが楽しい。

逆に信頼も共感もできる人がいない職場で働くことを想像すると、気絶しそうだ。
それは砂漠のようだ。


僕がモニターをやっていた時代に医師と共感しあえることが何度か有った。
そういう人と出会えるというのもモニターならではの喜びだった。

共感しあえる人と話していると楽しくて、心が躍り、そして思いもつかないアイディアが生まれることが多い。


給料、ボーナス、報酬が良い職場と、それらが低いけれども「信頼し合えて、共感し合える人が多い」職場のどちらを選ぶか?と質問されたら、間髪入れずに僕は後者を選ぶ。(建前でなく、これは全くの本音であり、実感だ。)

46年も生きていると「信頼し合えて、共感し合える人が多い職場」というのはpricelessだと身に沁みて思う。


あなたの職場もきっとそうであることを祈ります。


2006/01/29
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そうはいかない

やっとアメリカからの牛肉輸入が解禁されたと思ったら、BSEの危険箇所とされている背骨が入っていた。
そのため、再び、アメリカからの牛肉が全面輸入禁止となった。

さて、それではもう一度、今度こそ大丈夫ですと言って、解禁となって日本にアメリカの牛肉が入ってきたらどうだろう?

正直、僕はそのアメリカ産の牛肉を買わない。
いくらアメリカという国(あるいは組織)が、全部試験していますから問題ありません、と言っても、もう駄目だ。
いくら日本という国(あるいは組織)が、輸入に際しては厳重なチェックをしているから、と言っても、僕はしばらくは買わない。

アメリカの畜産業界が信用を失ったことに対する代償は大きい。


ある自動車メーカーで不良品を隠していたことが発覚したら、そのメーカーの自動車は僕は買わない。

では、ある製薬会社がデータを捏造していたことが分かった時に患者さんはそのメーカーの薬を拒否できるだろうか?

多分、患者さんはできない。

そもそも、一般的に患者さんにはどこのメーカーの薬かなんて、説明していない。
つまり、自分が使っている薬のメーカーを知っている人はほとんどいない。
もちろん、今は、本屋やネットでその気になれば自分が使っている(使わされている)薬の名前と効能、副作用、製造元を調べることができる。

しかし、自動車のようにこちから指名して薬を処方してもらっていない。(どこどこ薬品のなになにを一ヶ月分だけください、とは言えない。)
それは、患者に病気と薬の専門的知識が無い(とされている)からだ。


たとえ、データ捏造をしていたとしても、品質に一部、問題があったとしても、薬は代替薬が無いと、ほかに治療の手立てがなくなるということもある。

A社のBという薬に問題が有ったとしても、患者さんは自分の意思とは関係なくA社のCという薬を使わざるを得ないということがある。


ここに他の業界には無い「製薬業界」特有の責任の重さが有る。


患者さんは薬の信用を失ったら、どうしたらいいのだろう?
だったら、薬を使わなければいいということになるだろうか?

薬を使うか使わないのか、あるいは治療を受けるか受けないのかの選択肢を患者さんは持っているはず。
例えば「がん」になっても化学療法を受けない、という選択肢もある。


僕自身のことを考える。

もし、ある製薬会社の新薬開発時にデータ捏造が分かり、その新薬が販売・製造中止になったとしよう。
でも、その製薬会社の別の古くからある薬が自分にとって必要ならどうするか?

僕は使う。


ここ一連の「信用、信頼を無くす事件」をテレビで見ながら、製薬産業にとっての「信頼」というのは、ちょっと特殊だなと思ったしだいです。


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2006/01/22
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医薬品ができるまで  / ホーライ製薬 / ハードボイルド・ワンダーランド日記

信頼に足る人物か?

昨年の暮れから「信頼」という言葉が揺れている。

耐震強度の捏造とES細胞の捏造問題。

僕たちがやっている治験では「信頼」は欠かせない。

患者さんは医師を信頼し、治験に参加する。
医師は治験依頼者の情報を信頼して治験に参加する。
治験依頼者は治験責任医師を信頼して治験を依頼する。
総合機構は申請者のデータが信頼に足るものかどうかを確認する。

治験依頼者としての僕たちは本当に治験責任医師を信頼しているし、CRCの方も信頼している。
では、どういう治験責任医師なら信頼できるか?

僕の経験から言うと医師の勤めている病院や医師の肩書きはほとんど関係ない。

それは「その医師は信頼たる人物か?」という僕の質問に答える作業からでしか得られない。
これがただ一つのか細い根拠となる。


目の前の人物が信頼に足る人物かどうかなんて、簡単には決められない。
いわゆる「人を見る目」というのが必要だ。(それはどこにも売っていない。)

面会をし、話をして、その短い時間に滲み出てくる人柄を頼りに、僕は治験を依頼してきた。

ただ、最初はそうでもないが、長い時間を通してお互いが理解し合えるようになると、信頼関係ができることも多い。

こればかりはどんなに科学が発達しても(逆に発達するからこそか?)、人間対人間の「戦い」となる。
大げさだが「戦い」と言っていいだろう。
なにしろ、患者さんは命をかけて治験に参加してくれるのだから、厳しい目で相手を見ないといけない。


モニターも医師やCRCから信頼されるようになったら一人前だ。

では、どうやってお互いに信頼できる人間になれるのだろうか?

それは営々と続く毎日の些細なことの繰り返しの中でしか生まれてこない
治験の勉強、担当領域の勉強という基本的なことはもちろんのこと、ルーチンワークをこなしている間でも、人間の信頼関係を築くことが必要だ。 


信頼に足る人物になろう。 

結局、行き着く先は人間個人だ。その人が、僕が(私が、あなたが)勤めている企業(病院)の大小ではない。


失敗するプロジェクト

企業にいると『プロジェクトチーム』とか『タスクフォースチーム』というものに参画させられることがある。
組織横断的な問題解決や新規プロジェクト、新商品開発などを目指して発足するのがプロジェクトチームだ。


このプロジェクトチームとかタスクフォースチームに入ると、時には普段の仕事のうえに追加として、プロジェクトの仕事をやらないといけない、ということもある。

場合によっては、専属ということもある。普段の仕事を一時中断して、その仕事に専念しなさい、というわけだ。

いずれにしても、期間限定で多忙になる。やりなれていな仕事をやったり、急ごしらえのチームなので意思の疎通に苦労する。
NHKでやっていたプロジェクトXのミニチュアだと思えばいい。

僕も会社の合併、吸収などのプロジェクトに入れられたりしたこともあるし、さらには、会社を有名にする方法なんていう、なんだかよく分からないものをやらされたりした。

いくつものプロジェクトやタスクフォースチームを経験して思うことは「最初から失敗することが分かっているプロジェクト」というものが、この世の中には厳然として存在するということだ。


その典型的な理由は『経営陣の判断が誤っている』というものだ。
トップの連中がどうかしたとしか思えない代物が突然、降ってくることがある。

そうなると、災難だ。

こんな時は、期間限定の悪い夢を見ていると諦めて、そのプロジェクトチームの役割を演じるしかない。
もちろん、成功するように努力するし、失敗しても損失が少なくなるように努力する。

そして、デッドラインを迎えると、予想どおり、物事が何も変わっていない。(下手すると前よりも悪化している、ということもある。)

もちろん、そんなプロジェクトばかりではないが、上のような例も決して少なくない。

もし、こんなプロジェクトチームに入れられたらどうするか?

そんな時は、上層部の目標とは違う目標をチームで勝手に作って、それを達成したら成功ということにする。
こんな方法は邪道なのだが、こうでもしないと、チームのメンバーが再起不能になってしまうのだ。

もう一つの方法は、トップや経営陣の誰かを巻き込むことだ。
そうしないと、成功しなかった時に経営陣から「メンバーやリーダーの能力・努力不足」と勝手にレッテルを貼られることがある。

そして、最後に経営陣には「時期尚早」でした、という常套句を用意しておく。


『夢』を語りつつも、現実的な作戦も練っておく。厳しい企業人の生きる知恵として覚えておこう。

もし、あなたがプロジェクトのメンバーかリーダーになったら(特にリーダーに成った時は)、メンバー全員のモチベーションがアップする方策を常に最優先で考えるといいと思います。

プロジェクトが成功するのは難しいけれど、せめてメンバーのモチベーションが下がらないように注意しておきましょう。


●参考書『はじめてのプロジェクトマネジメント 日経文庫


2006/01/06

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