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ホーライの治験日記(15)

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治験担当モニターに向いている人とは

インターンシップや就職活動の補助などのため、学生との係わり合いが多くなってきた。

そんな中で必ず学生から出てくる質問は「治験担当モニターに向いている人とは?」というものだ。

どんな性格の人がモニターに向いているのか、モニターになるために必要な資格やスキルは何か? という質問が多い。



まず、「どんな性格の人がモニターに向いているか?」だが、これをモニターの仕事から考えてみよう。

モニターは治験実施医療機関に出向き、治験責任医師や治験分担医師、CRC、治験事務局など等の人たちと会い、仕事をする。

そうなると、ここはやはり「人見知り」しないほうがいい。「ひとと出会うのが好きだ。ひとと一緒に仕事をするほう一人で仕事を黙々とするよりも好きだ。」という性格のほうが、モニターに向いていそうだ。

逆に「ひとりで仕事を黙々とやる方が好きだ。」とか「ひとに会うのがおっくうだ。」というひとはモニターには向いていない。

だから、どちらかというと『内向的』よりも『外交的』な性格のひとのほうがモニターの仕事に向いている。

じゃ、『内向的』なひとが絶対にモニターに向いていないか、というと、実はそうとも限らない。

ただ『おしゃべりな』で約束を守らないモニターよりも、口数は少ないが『信頼のおける発言や行動』をとるモニターのほうが治験関係者から信頼を得ることは間違いない。



仕事のスタイルで言うと『内勤、ディスクワーク』をしているよりも『外勤、出張の多い仕事』のほうが好きだ、というひとはモニターに向いている。

しかし、モニターの仕事に『内勤、ディスクワーク』が無いかと言うと、とんでもない、もちろん多い。

僕は『外勤、出張の多い仕事』よりも『内勤、ディスクワーク』のほうが圧倒的に好きで、モニターから「一日中、会社にいて机に向かっているとおかしくなりませんか?」とよく質問される。

とりあえず「おかしくなっている」が、辛いことはない。


『積極性』はモニターに限らず、社会人に求められていることだが、モニターは特に『臨機応変さ』も持ち合わせた『積極性』が有るといい。

治験実施医療機関で、モニターは治験責任医師や治験関係者から『思わぬ』質問や対応を迫られることが少なからずある。

それをいちいち「社に戻って検討させてもらいます」と言っていては、仕事にならない。


治験担当モニターに向いている人としては、さらに『誠実さ』が求められる。

まぁ、これもまた、何もモニターだけに求められるものではないが、医療関係者と信頼関係を構築することがモニターには強く求められるので『誠実さ』は、本当に大切な要素だ。


『仕事が丁寧』というのも、モニターに求められるものだろう。

たとえば、SDV。SDVを雑にやるモニターの治験データは信頼性に欠ける。

もちろん、健康で、体力があって、精神的にも肉体的にもタフなひとがいい。

以上が、大雑把に言って、モニターに向いている人の性格や特徴だ。


では、次にモニターに必要なスキルは何だろう?

コミュニケーションスキル、プレゼンテーションスキル、交渉力、読解力、対人スキル・・・・・・これまた、数えだしたらキリがない。

このあたりのスキル関係は、会社に入ってからいくらでも研修を受けるチャンスがあると思うので、最初から、このようなスキルが無くても、全然、構わない。


その他の学生からの質問で興味深かったものは『自分に合った仕事をするべきか?それとも自分がやりたい仕事をするべきか?』というものだ。

普通は、自分に合っているので、それをやりたくなるのが仕事だと思うのだが、学生の立場で考えると、もう少し難しい。

学生にしてみれば、まだ経験をしたことがない臨床開発の仕事、モニターの仕事の話しや、会社の担当者からの説明を聞いただけで、その仕事が、自分に合っていて、自分がやりたい仕事だ、と簡単には判断できないだろう。

そりゃそうだ。また、実際にやったことがない仕事が自分に適しているかどうかなんて、分かりっこない。

ただ、人に会うのが苦手、人と話すのが苦手、というひとにはモニターの仕事は自分に向いてないかも、とはわりと素直に思えるだろう。

また、学生のうちから、自分がどんな仕事に合っているか、適しているかを正確に判断することは難しい。

なので、僕としてはまず『自分がやりたい仕事に就く』ことをおすすめします。


モニターの仕事の説明を聞き、それを「やってみたい!」と思えるかどうか、だ。

「やってみたい!」と思う理由は様々だと思うが、この場合、その理由は問わない。

とにかく、あなたが「やってみたい!」と思うことが大切なのだ。

モニターとしてのスキルや適正が自分には無いと思ったとしても、それ以上に「モニターの仕事をやってみたい!」というならば、迷わず、モニターの仕事をまずはやってみることをお勧めします。

スキルなんてものは、あとで練習すればなんとかなるものです。

それよりも大切なのは内に燃える「やってみたい」という想いだ。



最後に。

どんな仕事をやるにしても、絶対に必要なのは『情熱』です。


2007/08/26






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インターンシップと人材の確保

言うまでも無く、企業の盛衰は、いかに優秀な人材を確保するかにかかっている。
また、企業だけでなく、業界全体としても、一人でも多くの優秀な人材が入ってくることを願っている。

そのためには、どれだけ魅力ある会社なのか、あるいはどれだけ素晴らしい業界かを示していく必要がある。

僕たちの時代では、先輩や教授からの紹介、コネ、情報提供ぐらいしか就職活動(就活)のツールは無かった。
しかし、今ではインターネット上で、自分が興味を持っている会社のホームページを見ることもできるし、ミクシイ等のSNSで情報を交換することもできる。
もちろん、就職専門の情報サイトもある。(大学3年・修士1年必見!エン・ジャパンの就活サイト。

そして、最近では「インターンシップ」を行う大学、受け入れる会社も多くなってきた。

インターンシップの場での学生のメリットは、とにかく、実際に会社内部を少しでも垣間見られる、という点が大きい。
モニターやCRCの場合は、直接、現場に出てもらうことは困難だが、それでも受け入れる側のプログラムの工夫しだいで、かなり、現場の雰囲気を味わってもらえる。

実際、今回(先週の水曜日から金曜日までの3日間)、僕(と同僚)が受け持った学生のアンケートからもそれが伺えた。
アンケートの中で、学生たちは、最初は治験の現場を見ることができないことを残念がっていたが、二日目、三日目になると、学生たちの感想は全て「期待以上だった」となった。

新薬開発の意義や治験の流れ、そしてGCPの本質と重要性については、大学の授業ではとても味わえない深さを学ぶことができた、という意見が圧倒的だった。
また、モニターという職業の大変さと存在意義もこちらが期待していた以上に感じてくれた。

さらに、学生たちは一日目の「インターンシップに求めていること」というコーナーで「会社やで働くということ」「社会に出るということ・社会人になるということ」を知りたいという発言が多かったが、それも最終日のアンケートによると、十分に満足してくれたようだ。

まぁ、多少の社交辞令が有ったとしても、僕たちとしては嬉しい限りだ。


また、インターンシップの企業にとってのメリットは、もちろん、自社をより多くの人に、詳しく知ってもらい、そこから、一人でも多くの優秀な人材の確保に繋がることが大きい。

今回うちの会社に来た学生などは、もう、明日からうちで働いてみない?と言いたくなるような優秀な学生が多かった。
これは、インターシップに参加して、CROやモニターの仕事を知りたい!という意識を持った学生が来ているわけなので、当たり前と言えば当たり前なのだが。

ますます、インターンシップの活動が活発化され、いろんな大学、いろんな会社で実施して欲しいものだ。


さて、ここからが本題ですが。

インターンシップを受け入れるかどうか、という選択肢が企業にある。
忙しいから駄目、とか、対応してくれる部署、ひとがいない、とか、どうせ、インターンシップでうちの会社に来たからと言って、そのままうちの会社に就職してくれるかどうか分からない学生に時間をかけても仕方がない、という意見もある。
こういう意見は会社が潰れてもいい、と思っていないと、出てこない考えだ。


企業にとって優秀な人材を確保、育てる以上に大切なことがあるだろうか?

どんなに効率が悪くても、どんなに手間隙がかかったとしても、それでひとりの優秀な人材を確保できるのであれば、その努力なんて微々たるものだ。

また、自分たちで、自分たちの業界、仕事がどれだけ素晴らしいか、どれだけ社会に貢献できるか、などの魅力を語れないようでは、その業界で働いている意味がそもそも無い。(他の業界に転職すべきだろう。)


政府の『イノベーション25』でも我々の業界の『新たな治験の活性化5ヵ年計画』でも最重要課題として「人材の育成」をあげている。

イノベーションを起こすのも人間であり、治験を活性化させるのも人間である。
ひとりでも優秀な人材をこの業界に呼び込めるかどうかが、治験の活性化5ヵ年計画の成否にも関わっている。


そして、何よりも大切なことは、せっかく入ってきた優秀な人材を会社が、組織が、上司が、先輩が潰さないことだ。
(こういうことは意外と多い。)

2007/08/11





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ワクチンに関する2つのニュースとドラッグ・ラグ

最近の医療関係ニュースを見ていたら、たまたまワクチン関係のニュースが2つ並んでいた。

「国産ワクチン開発 国立感染研など協議会設立へ」と「子宮頸がんの新しい予防ワクチン、効果は9割」という対照的なものだ。


ワクチン製剤はそもそも、普通の製薬会社では開発・製造技術がほとんど無い。

日本ではワクチンに特化した製薬会社がそのほとんどを開発・製造している。

(参考:細菌製剤協会 )


つい先日も麻疹(はしか)が時ならぬ流行をみせ、いくつかの学校が休校となった。

あわてて、これからは麻疹ワクチンの接種を義務付けることも検討しているらしい。



ところで、ZARDの坂井 泉水さんが、子宮頸がんの治療中に転落事故で亡くなられた。

ほとんどの子宮頸がんは扁平上皮がんであり、これらは発生原因が科学的にほぼ解明されている。

ヒトパピローマウイルス(HPV)の長期間の感染により発症することが最近の研究で明らかになっている。

そこで、ワクチンの登場となるわけだ。

このウイルスは性行為で感染するが、イギリスでは今月初頭にこのワクチンを12歳の女子に接種させる法案が提出されており、来年に施行される可能性があるという。



イギリスでは、このワクチンのおかげで子宮頸がんにならずにすんだ人が、日本では(ワクチンが承認されておらず、接種がなされてなければ)子宮頸がんになるかもしれない。


ドラッグ・ラグとは、そういうことだ。



また、他の国では安全性に問題が有るということで、使用を中止された薬剤が、日本では使われ続け、その結果、薬害が発生する。

これもまた、ドラッグ・ラグの一種だ。


こういうことって、健康なひとや健康な時には気づきにくいことだけど、いざ、自分や家族や恋人、友人がそのような状況におかれて始めて気づく。


だけど、僕たちは、一般のひとよりも、そういうことの事情や状況をよく知っているはずだ。(そのはず。それすらも怪しいか。)

だから、日本の状況をより多くのひとに知ってもらい、治験についての理解を得ていくことが大切だ。

・・・・・・この「一般のひとに治験の理解を得てもらう」という言葉は何年間、続いているだろうか?

少なくとも、ぼくがこのサイトを立ち上げた7年前から言われ続けており、状況は残念ながら、あまり変わっていない(多少は、変わったと思いたい)。


しかし、じゃ、日本はドラッグ・ラグという状態ですから、あなたが治験に参加しないと、ますます、その状況が悪化しますよ、とは言えない。
(社会への貢献度よりも、個人の人権を優先する。)


では、どう打破していくか。


今までの延長線上でものごとを考えていて、10年後に状況が変わっているだろうか?


GCPが変わり、同意は文書で必須、と厳しく法律で規定されたからこそ、今、同意は当然のように事前の文書で説明し、文書で同意が得られている。

このGCPが変わる前後では180度のパラダイム・シフトが起こっている。

「今の日本の状況、医療環境、医療風土では、文書同意は難しい。ましてや抗がん剤の治験では不可能だ。」と言っているひともいたが、そんなのおかまいなしである。



「治験の契約は医療機関の長と交わす」ことを「治験責任医師と契約を交わす」にすることが、どれほどのもんだろう?

そういうこまごましいところは、さっさと決めてしまって、もっと大きな問題に取り組んでいこう。

日本で行われている全治験と全実施施設の一覧をインターネットで公表する。

病気で苦しんでいる人は、自分の疾患に対する治験薬にはどのようなものがあり、それはどこの病院に行ったら、使ってもらえるのか、が分かるようにする。


患者の視点に立った改革が必要だ。(必須文書を半分に減らしてもらえるのは、それはそれでありがたいが、あまり患者に影響しない。)

海外の標準薬とその中で日本ではまだ承認されていない薬の一覧表を厚生労働省のホームページの中にあってもいい。

日本ではまだ開発の準備すら始まっていない薬が山のようにある。


この現状を認識しつつ、新薬の種を探す努力も続けなければならない。

そういう意味では、「ワクチン開発研究機関協議会(仮称)」の確実な成果に期待したい。



関連サイト

独立行政法人 医薬基盤研究所

国立感染症研究所

大阪大学微生物研究所


2007/08/04






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同意書を得ずに患者48人に抗がん剤の臨床試験を実施

神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)の外科医長ら医師2人が、乳がん患者48人に対し、同意書を得ずに、通常とは異なる方法で抗がん剤を使う臨床試験を行っていたことが分かった。
  ↓
同意書を得ずに患者48人に抗がん剤の臨床試験を実施


外科医長はこう言っている。
「文書での説明は時間がかかるので省略した。」

「時間」がそんなに大切なのだろうか。
いや、患者の「人権」と「時間」を比べること自体がおかしい。
言語道断だ。


ここでは、「医者」と「患者」という関係に注目して考えるべきなのだろう。
こういう医者は自分を患者より上に見ているのではないだろうか。
もし、この医師の奥さんに同様なことが起こったら、どうしているだろう?

あるいは、「臨床試験」を甘く見ているのかもしれない。
既に承認・販売されている医薬品の使い方の検討ぐらいなら、同意を取るまでもない、とか思っているのだろうか。


こういう適性のない医師には臨床試験をやらせないのが一番いいのだが、それを事前に見極めるのは極めて難しい。

その見極めるという行為を行う審査部門がまず無い。

本来ならば、IRBがその大切な「臨床試験を行うに適した医師かどうか」を見極める責任を負うべきなのだろうが、果たして、そんなことが現実問題としてできるのだろうか。

最低限、考えられることは、臨床試験が始まったら、常にモニタリングすることだ。

たとえば、患者さんの同意書の写しを必ず、IRBへ提出し、それが無い限り、薬の投与はできないとか。
さらに薬剤部にも同意書の写しを提出しないと薬を払い出せないとか。
また、臨床試験が始まったら、計画書どおりに行われているかどうかの確認をする、ことなど等。


残念ながら、治験や臨床試験では「性悪説」で考え、行動しないといけない。
臨床試験や治験ではやはり、監視機能を持った組織、その役割を担うひとが必要なのだ。

治験で言うならば、それはモニターであり、監査である。(もちろん、IRBもそうなのだが、実際のことを考えると、あまり期待できそうにない。)


だから、そんな仕事(モニターや監査)をやってみたい方は、是非、製薬会社やCROの臨床開発部門を志望して欲しい。

あなたがいないと、日本では、安全に臨床試験も治験もできないのだ。


なお、今回の事件で思い出した本があるので紹介する。


『人体実験』と患者の人格権

金沢大付属病院の元患者遺族が、抗癌剤の比較臨床試験を無断で行なわれたとして国を訴えていた訴訟で、金沢地裁は、「臨床試験に対するインフォームド・コンセント」の必要性を認める画期的な判決を下した。

同病院の産婦人科医師の「内部告発」を手がかりにしながら、この事件の背後にある、医学研究と患者の「人格権」をめぐる問題の諸層を明らかにしていく。


『人体実験』と患者の人格権




『人体実験』と患者の人格権―金沢大学付属病院無断臨床試験訴訟をめぐって



『人体実験』と法

金沢大学附属病院に入院していた卵巣癌の患者に対する抗癌剤の無断臨床試験をめぐる訴訟で、名古屋高裁金沢支部は、「他事目的」説明義務を果たしていなかったとして大学側に損害賠償を命じた。

大学の調査委員会も、この患者を含む二十四人の元患者に対して、正式のインフォームド・コンセントなしに臨床試験が行われたことは認めた。

にもかかわらず、臨床試験の責任者の産婦人科教授は厳重注意を受けるにとどまり、大学は責任の所在を曖昧にしたまま事件を幕引にしようとしているように見える。

病院であると同時に研究機関でもある「大学病院」という特殊な環境における「医師と患者」関係に内在する根本的な問題を、総合法的な視点から分析する。

2003年刊「「人体実験」と患者の人格権」に続く、その後の裁判の経過を記す。

この本と上の「『人体実験』と患者の人格権」を併せ読んで、ケーススタディの題材とし、治験や臨床試験における創薬ボランティアの人権の保護を新人モニターやCRCは言うに及ばず、各層の関係者で行うことも有意義だろう。


『人体実験』と法




『人体実験』と法―金沢大学附属病院無断臨床試験訴訟をめぐって





IRBハンドブック(臨床試験の倫理性確保,被験者保護のために)

本書は米国の倫理規定に基づきIRBの運営の基本理念と具体的なノウハウを解説するハンドブックである。

日本のIRBの皆様も頑張って頂いているのは、よく分かっている。
でも、まだIRBに慣れていない、治験初心者のIRBもあることも間違いない。

本書「IRBハンドブック」は具体的にIRBでは何を審議すればいいのかのヒントが載っている。

もちろん、これだけで、IRBの責務を全て果たせるかとういと、そんなことはないのだが、まずは、ここからだろう。


【内容】

1 IRBの基礎知識(このハンドブックの目的/IRBの任務 ほか)

2 フル・メンバーによる正式のIRB会議(IRB会議の前の準備/新規のプロトコール審査 ほか)

3 具体的なトピックス(研究のデザインと質を評価する/研究者の利益相反 ほか)

4 補足情報・レファレンス(倫理規範/アメリカ合衆国政府規制 ほか)

付録 日本国内規制・国際情報・補足情報(人対象研究:関連法令/治験:省令・関連通知等 ほか)


IRBハンドブック




IRBハンドブック―臨床試験の倫理性確保、被験者保護のために






2007/07/28





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CRO業界で働いて分かったこと。感じたこと。期待すること。

この7月で、僕もCRO業界で働き始めて4年になる。
そこで感じたことは、治験の進め方にも製薬会社によっていろんな方法があるもんだ、ということだ。

もちろん、基本的なやり方は大きく変わることは無いのだが、細かい点になると各社各様。
プロトコルの作り方、CRFの設計方法、医師からのコメントの貰い方、もらうべき項目の基準、モニタリング報告書に記載すべき事項、記載して欲しくない事項、はたまた、CROとの協力関係の築き方など等。

CROは各クライアントとの間に守秘義務が有るので、そういうことを表立って言うことはないのだが、CROで働くモニターにとっては凄く勉強になるし、ノウハウの構築にも繋がる。(モニターに限らず、CRO会社としても。)


外資系製薬会社にいると、転職して来る人が多いので、他社がどういうふうに治験を進めているかを多少は知ることができる。
しかし、国内メーカーに長く勤めていて、しかも、その会社に転職して入ってくる人が少ないと、まず気になるのが「よそはどうしてる?」ということらしい。

外資系の場合、よそでやっていることの二番煎じなんてやってられるか、うちがオリジナルの新しいやり方でやってやる、というパイオニアの雰囲気もある。
横並び主義の風潮も少ない。

しかし、国内メーカーでは割と「よそでやっていないこと」を「うちが一番最初にやる」というのは、相当、敷居が高い。

CROで働いていると、その手のパイオニア的手法を使うときには、まずは、絶対にクライアントである製薬会社にお伺いをたてる。
そして、そのクライアントの反応も各社各様だ。


最近の学生は、CROで働くと、いろんな会社のいろんな治験を担当することが、自分の成長に繋がる、あるいは色んな治験をやってみたい、という理由でCROを希望してくる人がほとんどだ。


話しは60光年ほど飛ぶが、「アイディア」とは「異質なものの組み合わせ」という定義がある。
ゼロからアイディアを作ることは不可能で、今までのアイディアを発展させる、あるいは組み合わせて、新しいアイディアを作る、というのがセオリーだ。

そこで、せっかくCROで働いているのだから、各社の治験のやり方を頭の中で組み合わせて、新しい治験のやり方を考える、ということもできる。
そこから、ソリューション提供型のCROというカテゴリーも作ることができる。

しかし、クライアントの中には「CROは余計なことをしなくていい。こちらの言ったとおりにやって欲しい」という会社もあるだろう。
それはそれで、もちろん、全然、問題ない。

今はまだ違うだろうが、そのうち、製薬会社に所属するモニター(CRA)よりもCROに所属するモニター(CRA)の人数が上回る時が来るに違いない。

そのとき、治験のやり方が変わってくるだろうか? それとも全く変わらないだろうか。

そのあたりが、僕としては、今、一番、気にかかるところだ。


2007/07/22




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とことん治験の質「問題」の「周辺」にこだわってみる

以前、ここで日本の治験の質が低いとはどういうことかを触れた。(2007/05/19『オーバークォリティ』を考える

今週はさらに「日本の治験の質が低い」とはどういうことか、考えてみたい。


まず「治験の質」と言ったときの「質」とは何か?

いろいろ考え方はあるが、たとえば次のことが考えられる。

・GCP、プロトコルの遵守状況

・データの信頼性、科学性

・創薬ボランティアの安全性を確保しているか

・モニタリング報告書等で治験が再現できるか

・契約書等の必須文書類が求められている事項を満たしているか



・・・・・・など等。

さて、ここで「日本の治験の質が低い」と言ったときに何を指しているのだろう?

もちろん、それは各個人(各会社)で考えていることは違うし、そのセンテンスが出てきた流れによっても違う。

また、低い、高い、と言ったときに「何を基準にして」、日本の治験の質は低い、と言っているのだろう?

何かと比べて低い、と言っているのか、それとも「総合機構から10個以上」の指摘が有ったら低いとか10個未満なら高いとか言っているのだろうか?


「何を指しているのか」と「何を基準にしているのか」が問題だ。

また、それはいつの時点のことを指しているのか、ということだって、この手の話をする時には重要だろう。


僕がモニターをやっていたころの「旧GCP」に比べて、今はどうだろう?(絶対に、あの頃に比べれば飛躍的にデータの信頼性もプロトコルの遵守状況も向上している。)

あるいは欧米の治験に比べて、あるいは韓国、中国、台湾などに比べて、日本の治験の質はどうだろう?


はたまた、こういう考え方もあるかもしれない。

「3年前の我が社の治験に比べて、今の我が社の治験の質は・・・・・・云々。」

「施設への依頼、契約は問題無いが、プロトコル不遵守が多いので、そこは質が低いと言わざるを得ない」とか。



繰り返すが「治験の何をもって質が高い、低い」と言うのか、「何を基準にして」「どうだったら」質が高いと言えるのか、が大切だ。

日本の治験の何かもかも、全ての質が低いのだろうか?


こういう話は他のことを論じる時にも欠かせない。

「モニターの質の向上」とか「監査担当者の質の向上」とか、漠然としたことを考えていても、そこから先に話が進まない。

どうなったらモニターの質が向上したと言えるのだろう? 

実は、このことは僕の仕事にも密接に関連してくる。

僕はモニターの教育を行っているが、その教育効果をどう測るが重要になってくるわけだ。

例えばSOPに「モニターの質向上のために継続研修を実施する」なんて書いていても、何をもってモニターの質を向上させる教育・研修を行ったか、という視点が常に大切になってくる。

「研修を年間30回以上やりました」という回数だけ言っていても意味が無い、ということだ。



「治験のあり方検討会」でも、きっと治験の質、ということも検討されるだろうし、各製薬会社、CRO、治験実施医療機関、SMOにおいても、自分たちの行っている治験の質について、検討していることだろう。

それらの検討の結果、日本の治験の質があがりました、モニターの質があがりました、必須文書には誤字脱字はありません、でも、1年で済む治験が5年かかりました、では、ちょっと困る。

そこには「何のために日本の治験の質を向上させる必要があるのか」という視点を加えないといけない。

また、例えば「新薬の開発期間が従来に比べて2年間、短縮されました」という時に「治験の質」はどう絡んでくるのだろう?


ここから先は、みんなで考えよう!(僕も考えてみようっと。)

2007/07/16





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治験プロジェクトを完遂させる方法

今回のタイトルは本当なら「治験プロジェクトを“成功”させる方法」と書きたかったのだが、治験の場合、どうあがいても失敗すること も多々あるので、とりあえず最後までメンバーの全員がモチベーション高く完遂させることを考える、というタイトルにした。

今年の4月に入ってきた新入社員の皆さんも、3ヶ月が過ぎ、そろそろ会社や社会人生活に慣れてきた頃と思う。

でも、まぁ、まだモニターとして一人で施設に行ける状態ではないかな。(書類を運ぶくらいなら、もちろんできるだろうが、SDVなんて、まだ無理でしょう。)

その新人モニターが例えば最初に配属された治験プロジェクトが3年に渡るものだとしましょう。

最初の1年はとにかく、何が何やら分からないままガムシャラに、とにかく、期限を守らなくちゃ!という感じで仕事をやる。
ときには失敗もし、施設に先輩や上司と一緒に謝りに行ったりしてね。

2年目になると、そろそろ仕事そのものには慣れてくるのだが、治験が新しい局面に入るので(例えば、最初の1年目は施設の調査・選定 から依頼、治験薬の搬入、創薬ボランティアの登録依頼などだが、2年目になるとCRFの作成促進、SDV、CRFの回収と固定などが 多くなる)、それはそれで、忙しい毎日を過ごすことになる。

そして、最後の3年目は治験を収束に向かわせるために、最後の頑張りでCRFの完全固定、必須文書の確認、終了手続き、そして、治験 結果を待つ。


こうしてみると、新人にとっては3年間が、ずっと初体験の連続で、仕事に張り合いが出て、とても転職なんて考えられないように思うかもしれないが、実はこの最初の3年間で転職する人がかなりいる。

僕が所属したことがある会社の形態で言うと、圧倒的に転職が多いのは外資系製薬会社で、次がCRO、まずほとんど無いのが内資系製薬会社だ。

外資系とCROに転職が多い理由の一つに、もともと上司だって、転職してその会社に来た、というのがある。
内資系製薬会社で働いていた時には、同僚や上司が転職していくというのはほとんど無かった。
一方で、外資系の場合、転職で入ってくる人はいるわ、出て行く人はいるわで、つまり、転職が「日常」なのだ。

CROも、日本ではまだ歴史の浅い業界なので、立ち上げ当時は製薬会社からの中途採用が多い(即ち転職だ)。
一度、転職で入って来た人は、転職でその会社を出て行くことにも抵抗は無い。
そういう上司を見て育つ新人たちも、「へー、会社って、そんなもんなんだ。」ということで、内資系製薬会社に入った新入社員に比べて はるかに転職に対して「違和感」や「抵抗」はない、というのが僕の見解だ。


こういう(転職の多い)世界で治験のプロジェクトを成功させるためには、リーダーは何をすればいいのだろうか?
多分、こういうリーダーに求められるのは、メンバーの心を、未来のある一点に向けさせる能力だ。

その一点とは「このプロジェクトが終わった時に訪れるもの」だ。


例えば、このプロジェクトが終われば新薬をひとつ、世の中に提供できる(社会貢献)、とか、ボーナスが上がるとか昇給、昇進するとか(社内的成功)、あるいは、自分が成長していること(人間としての成長)や達成感、満足感かもしれない。

リーダーは個々のメンバー性格や特性を見ながら、そのメンバーに合った「期待される未来」を具体的に提示し、そのメンバーの心を、その一点に向ける必要がある。
こうすることにより、リーダーは、メンバー全員をプロジェクト完遂に向かわせる。途中で転職させずにね。


転職する理由は様々だ。モチベーションが上がらない、人間関係、給料が安い、常に超多忙だ、会社の風土が肌に合わない、など等。
こういう人たちも含めて、リーダーは最後には治験を完遂させないといけない。

でも、実はこれは転職対策だけでなく、転職の少ない内資系製薬会社でも同様なのだ。
モチベーションが下がる、モラルが下がる、異動願いが多発する、など等。


『治験プロジェクトを完遂させる方法』はリーダーが目的地を明確にし、メンバーが全員、そこを目指す(当然、チームワークも要求され る)ようにすること。


そして、それは会社生活を完遂させる方法にも言えることだ(たとえ、会社名が変わったとしてもね)。

2007/07/08





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『コンパッショネートユース(Compassionate Use:人道的使用:CU)』制度を考える

現在、厚生労働省の「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」が未承認医薬品をいかにして、迅速に安全に患者へ届けるかを検討している。
今日(2007/07/01)現在、第8回まで検討が終了している。

この検討会の中で一部の未承認薬については『コンパッショネートユース(Compassionate Use:人道的使用:CU)』を限定的に認めようではないかという方向で話が進んでいる。

詳細はこちら
  ↓
第7回有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会資料



新聞等の報道(*)によれば厚労省はこれを受け、来年度導入に向け検討に入るらしいが、実際にはいつになることか。
(*新聞報道⇒06月29日の朝日新聞06月15日の毎日新聞


この制度を患者の立場で考えると、心配になるのがまず「費用」の問題だ。
未承認薬なので、当然、健康保険は使えない。全て、自費ということになるのだろうか?

また、「万が一」の副作用などが出た場合、それも重篤な場合には補償や救済されるのだろうか? 例えば、総合機構の「副作用被害救済制度」の対象となるのだろうか?

そして、それはいつまで未承認薬のままなのだろうか? 製薬会社は通常の健康保険が適応できるよう承認をいつかは取ってくれるのだろうか?

・・・・・・というようなことが心配だ。


そもそも、この『コンパッショネートユース(Compassionate Use:人道的使用:CU)』の対象となるのが「重病で代替治療がない」場合を対象としているので、患者や家族は、この制度に期待をかけると思う。

しかし、これはあくまでも『特例』なのだ。
この制度の対象にならない「未承認薬」もあることだろう。そのような場合、患者はどうしたらいいのだろう?医師に頼んで個人輸入してもらうしかないのだろうか?

現在でも、難病で患者数が少ない疾患の治療薬は「オーファンドラック」制度があり、製薬会社に対しては税制上の面と審査段階での時間的な優先順位の点で優遇される。
でも、こういう制度が有ったとしても、もやっぱり製薬会社の思惑ひとつで、日本国内で開発するかどうかが決まる。

医師主導型治験」制度も、この手の「製薬会社」がなかなか開発をしてくれそうもない薬の場合、医師が自らその薬の治験をやることができる、ということがメインの目的として制度化された。
この目的はいいのだが、今のところ、期待されたほど活発に利用されていないようだ。


『ドラッグラグ』というのは、時間差があるけれども、最終的には日本国内でも承認され、使用されるから、まだましだ。

『コンパッショネートユース(Compassionate Use:人道的使用:CU)』を検討する必要があるというのは、そもそも、製薬会社が日本で開発する意志が無い(けれど、海外では使われている)治療薬が存在しているからだ。


先週からの繰り返しになるが「患者」にわざわざ「様」までつけて患者を思ってくれている製薬企業もあるくらいだから、是非、その「患者様のための」製薬会社になって欲しい。

ところで、「患者のための製薬会社」って、どういうことだろう?どんな会社なら、そう呼べるのだろう?


2007/07/01

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