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ホーライの治験日記(14)

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患者をあきらめない治験

長いこと治験の業界に足を突っ込んでいると(と言っても、たかだが10年程度だが)、「あの新薬はまだ出ないの?」とか「あの治験はどうなったんだろう?」とか「期待されていたあの新薬の開発はどうなっている?」という話を聴く。
実は僕も個人的に期待していた新薬がまだ市場に出ていない(製造販売の承認が取れていない)。
噂によると、また治験をやり直している(か、追加の試験をやっている)らしい。

一患者の立場で言わせてもらうと「何、やってんの?」だ。
その治験薬は当初の予定ではとっくに市販されていてもおかしくない。
何しろ、フェーズ3の創薬ボランティアの募集を新聞等で募集していたのが、もう、今から7年前。
海外では既に市販され、この分野では最もポピュラーの薬になっているのに、日本では、まだ治験をやっている状態。
しかも、ひょっとしたら、その治験だってうまく行くかどうか分からず、下手したら日本での開発を諦める可能性だってある。

一時、僕はこの期待していた薬を個人輸入でアメリカから購入して使っていた(効果はもちろん有った)。
その後、この薬と似た薬理メカニズムを持つ別の薬が先に日本で販売されたので、今は、そちらを保険適応で使用している。


こういうのがタイムラグに苦しみ患者の気持ち、経済的不安なんだと思う。

今ではインターネットで自分の病気の最新の治療方法を調べることができる。
でも、そこにこんなことが書かれているとがっかりする。
「海外では●●●が標準的に使用されているが、日本ではまだ承認されていない。」

しかし、患者はそんなことで病気との闘い(或いは共存)を諦めるわけにはいかな。
ましてや、患者が本人ではなく、自分の子どもなら、なおさらだ。

患者は新薬が出てくることに希望をつないで生きている。
患者は決して、その新薬の治験を諦めない。

でも、製薬会社は治験を途中で諦めることもある。
新薬開発を中止するのは、製薬会社にとっても大きな痛手だが、諸々の事情で(最も大きな理由は有効性が証明できなかったり、安全性に問題が有ったりした場合)、期待の新薬を諦める。

有効性や安全性に問題が有るなら仕方がないが、治験のやり方がまずかったり、GCP不遵守が多かったりして、再度、治験をやり直すことになり、これ以上は経済的にやっていけない、という理由では諦めて欲しくない。

正直な話、僕がこれまで関係してきた治験薬でも、数年前に治験を行い、その時は有効性を証明できず、しばらくお蔵入りしていたものが、やおら蔵から取り出され、もう一度、開発を始める、という例が少なくない。
(この手の話は外資系に多い。たとえば海外では既にドル箱に近いくらい使用されているのに、日本でやった治験では有効性を証明できなかった場合などが、この例にあたる。)

この業界の人間として、この手の話を聞くと心が痛む(少なくとも、いい感じはしない)。
その新薬の出番を諦めていない患者がいる限り、僕たちはそう簡単に治験を諦めてはいけない。
僕は今でも、前述した新薬の承認を待っている。決して諦めてはいない。

僕たちが治験を行う時は、患者を諦めてはいけないのだ。


市場主義、自由競争経済の中で生きている製薬業界だから、利益の確保は重要だ。次の新薬開発のためにも資金がいる。
しかし、他の業界と違い、ただ利益優先だと困る。

製薬業界の各種会社のホームページを見るといい。
そこには各社のビジョン、ミッション、使命、理念など等が記載されている。
たいてい「患者のために」の言葉が入っている。

この言葉が単なる言葉だけで終わらないことを、一患者として祈っている(祈るしかできないところが患者の最も辛くて歯がゆいところだ)。


2007/06/24

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あなたが担当している治験の意義は?(一般論を具体論にブレイクダウンする)

新入社員の導入研修に一区切りがついて、ホッとしているホーライです。

ところで、その導入研修の仮免試験とでも言うべき「面接試験」の試験官をやった。
約2ヶ月の導入研修を終えた新入社員に対して、どの程度、GCPや治験、プロトコル等の知識があるか、モニターとしての心構えがきちんとできているか等を試験する。

この試験の時にも使った質問事項ですが、「あなたが担当している治験を行うことの意義は何ですか?」

新入社員であれば、治験そのものの意義は、まぁ、答えられるが、もっと具体的に「自分が担当するプロジェクト(プロダクト)の治験を行う意義」となると、なかなか難しい。

担当する治験薬の存在意義はなんだろう?
その中で、今回、自分が担当するこのプロトコルで行う治験をやる意義は?

いかがでしょう?

人は、自分の存在意義もよく考えます。「自分がこの会社で存在する、働く意義は? そもそも、この会社での存在理由は?」とかですね。
それと同様です。


さて、一つのプロトコルであっても長い治験ですと、治験期間が3年位になります。
これだけの長さになると、その間に治験が進まないとか、CRFの回収が進まないとか、SDVだけでまるまる1週間が埋まるとか、かなり辛いことや、困難を壁にぶち当たることや、極めて多忙になることがあります。
そんな時に頭をよぎるのが「なんで、こんなに忙しいの?」とか「え〜〜い!もう辞めてやる!」とかです。(よぎらない?僕だけ?)

この時に、考えないといけないのが「“この”プロトコルの治験を行う意義」と「“この”治験薬の社会的意義や医学的意義」です。

一般的な治験の意義は「新薬を一日でも世に出し、一人でも多くの患者さんの病苦を救うこと」等と考えるのですが、それだけでは、モニター業務(あるいはCRC業務、治験責任医師業務、信頼性調査業務)は勤まりません。

今、まさに、この手に持っているプロトコルの治験の意義という具体的なところまでブレイクダウンしないと仕事には使えません。
(もちろん、一般的な治験の意義も自分なりに考えないといけないのですが。)



また、新入社員の面接試験で「どういうモニターになりたいか?」と質問すると「医師やCRCとの信頼関係を構築して、治験の質とスピードを向上させるモニターになりたい」等と答えます。
もちろん、これはこれで正しい答えですが、これでは仕事に生かせません。

「では、医師やCRCとの信頼関係を構築するとは、どういうことですか? 具体的にはどのような方法で信頼関係を構築するつもりですか? それがどう治験の質とスピードに結びつくのですか?」と試験官の僕は質問することになる。

さらに続く。

新入社員A「医師やCRCと十分な(良好な)コミュニケーションを取り・・・・・・」
面接官「十分な(良好な)コミュニケーションとは、どういうレベルを言うのか、具体的に教えてください。また、そういうコミュニケーションを取るために、あなたはどうするつもりですか?」


新入社員B「患者の安全を第一に考えるモニターになりたいです。」
面接官「どのようにすれば患者の安全を第一に考えるモニターと言えるのですか?普段のモニタリングで、どうすれば患者の安全を考えることになるのでしょう?」


新入社員C「新薬を一日でも早く、患者さんの手に届けるようにモニターとして頑張りたい。」
面接官「あなたがどうすれば、その希望が実現すると思いますか? そのために、今日からできることは何ですか?」

・・・・・・etc.



結局、どんなに立派な理想、理念、ミッション、ビジョンを持っていても、そのために具体的な行動は何か、というところまで一人一人が自分なりにブレークダウンしないと、結局、「美辞麗句」を並べて終わり、ということになる。

そんなことを患者が許すわけが無い。

「それで、私のために、あなたは何をしてくれるの?」という患者の質問に答えるのがモニターの最低限の義務であり、礼儀だ(特に治験に参加してくださった創薬ボランティアに対しては)。

え?「自分は患者一人一人のために治験をしているのではない」ですか?

なるほど。では、誰のために治験をやっているのですか? 自分のため? 家族のため? 会社のため? 社会のため?

分かりました。もちろん、どんな理由でもいいのですが、では、そのために、具体的に、今日、あなたは何をするつもりですか?

一般論ではなく、具体論で考えてみましょう。

2007/06/17



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GCPを学問にしないこと

先日、友人と話していたら、その友人から出てきた言葉に感心した。
それは「GCPを学問にしている人がいる。でも、GCPは学問じゃない!」
なるほど、と思った。 まさに!と大きく同意した。

GCPは法律なので、言葉遣いが難解で、シチ面倒くさく、硬い文章になっている。
また、GCPの重箱の隅を突くような解釈を討論することもできる。
例えばこうだ。

「実施医療機関等設置治験審査委員会」と「実施医療機関等設置治験審査委員会等」ではどこが違うか?
最初の言葉では途中で「等」という文字が入り、次の言葉ではさらに文の最後に「等」が入っている。
(この2つの言葉がGCPのどこに書いてあるかは、ここでは敢えて触れない。みなさんも探してみてください。まるで『ウォーリーを探せ!』みたいで10分は楽しめます。)


クイズの答えは(クイズじゃないけれど)、どうってことがないので、どうでもいいのですが、こういう楽しみ方もできるGCPなのだ。

でも、GCPは学問ではなく、使うものだ。

僕たちが携わっている「治験」を遂行する時にガイドラインとして存在するのがGCPだ。

創薬ボランティアの人権、安全、福祉の保護のもと、治験のデータの科学的な質と信頼性を確保するためにだけ、GCPは存在する。
そのGCPの解釈のための解釈ばかりやっていても、何も始まらないし、そんなことをやっていても、治験は一歩も進まない。

「オーバークォリティ」に「オーバーリアクション」、そんな言葉が出てきただけでも、今まで、いかに僕たちはGCPに振り回されてきたかが分かる。
(いや、GCPに罪はない。振り回したのは僕たち治験依頼者、治験実施者、当局という人間のほうだ。)


GCPを学問にしてはいけない。GCPを使って治験を遂行するのが先決だ。(それだけのためにGCPは存在している。)

僕たちは「実践してナンボ」の新薬開発業務を生業にしているのであって、GCPの解釈のためだけの解釈で時間を費やしていい業界にいるわけではない。

GCPの先には新薬を待ち望んでいる患者がいることを忘れてはいけない。
吐き気で苦しんでいる患者にとって、どこに「等」の漢字がついていようとどうでもいいことなのだ。
一刻でも早く、自分の吐き気を止めてくれる薬が世の中に出てくることだけが患者の望みなのだ。


ときどき、立ち止まって、自分たちが何をやっているのか、考えてみるのもいい。
時間が貴重なのは患者だけでなく、僕たちだって同じはずなのだから。

2007/06/09


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新薬開発における『イノベーション25』


先日、『イノベーション25』の最終案がまとまった。

その中に下記の記述がある。

★イノベーションの創出・促進に関する政策は、国民一人ひとりの自由な発想と意欲的・挑戦的な取組を支援する「環境整備型」へと考え方を大きく転換していかねばならない

長期戦略指針『イノベーション25』は、2025年までを視野に入れ、豊かで希望に溢れる日本の未来をどのように実現していくか、そのための研究開発、社会制度の改革、人材の育成等短期、中長期にわたって取り組むべき政策を示したものである。

イノベーションとは、技術の革新にとどまらず、これまでとは全く違った新たな考え方、仕組みを取り入れて、新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化を起こすことである。

このためには、従来の発想、仕組みの延長線上での取組では不十分であるとともに、基盤となる人の能力が最大限に発揮できる環境づくりが最も大切であるといっても過言ではない。

そして、政府の取組のみならず、民間部門の取組、更には国民一人ひとりの価値観の大転換も必要となる。


したがって、イノベーションの創出・促進に関する政策は、従来の政府主導による「個別産業育成型」、「政府牽引型」から、国民一人ひとりの自由な発想と意欲的・挑戦的な取組を支援する「環境整備型」へと考え方を大きく転換していかねばならない。



★『イノベーション25』の基本的な考え方

長期戦略指針『イノベーション25』では、その特質を踏まえ、以下の5点を基本的な考え方とした。


1.未来に向けての高い目標設定と挑戦

2.グローバル化と情報化の進展への的確な対応

3.生活者の視点の重視

4.多様性を備えた変化と可能性に富む社会への変革

5.「出る杭」を伸ばす等人材育成が最重要




では、ここで、上の5つの基本的な考え方を製薬業界にあてはめて考えてみよう。


「1.未来に向けての高い目標設定と挑戦」

医薬品開発は常に「未来」に向かって挑戦し続けている。
しかし世界的な大企業でも新薬の「種」は尽きることもあり、現在は、ベンチャー企業が、その間隙を縫って活躍している、という状況だ。
これからの20年間は、今以上にベンチャー企業が頑張ることだろう。
大企業は、そういった特色あるベンチャーとの提携により(あるいは吸収合併により)、新薬の種を手中に納めるか、種だけを導入するという路線が進むはずだ。


じゃ、大企業は自らが高い目標を掲げて挑戦しなくてもいいかというと、もちろん、そんなことは無い。
せっかくベンチャーから導入した新薬もいつかは特許が切れるし、自社開発製品が出ないと、自社の研究所の「腕が鈍る」。

20年前はベンチャーだった「アムジェン」は、もはやベンチャーとは言えず、世界トップ10に入る立派な大企業になった。
そのうちにベンチャー企業も他のベンチャー企業を頼るようになり、やがてはベンチャー同士の合併などが出てきて、新たな挑戦者がまたこの「新薬開発競争」に参戦するようになるだろう。

以上より「1.未来に向けての高い目標設定と挑戦」は、『イノベーション25』で言われるまでもなく、否が応でも製薬業界は常に目指すべきものである。


「2.グローバル化と情報化の進展への的確な対応」

『イノベーション25』の2番目の基本的考え方は、まさにたった今、我々が直面している課題だ。
グローバル化(新薬の世界同時開発)は、わずかながらも、その数を日本でも増やしてきた。
今後は中国やインド、台湾、韓国などのアジア勢の一員として、新薬の基礎から世界開発までを一手に担うエリアとなるだろう。

「情報化」と言う意味ではゲノム創薬、抗体医薬品など、複数のデータベースを有効に使いながらの基礎研究から応用研究を進める方向が定着している。
このような、言わば「新薬開発領域」という「閉じた」世界での「情報化」は進んでいるが、インターネットという「開いた」世界における「情報戦略」は、今のところ、あまり大きな成果が出ていない。
(ちなみに、先日、DNAのらせん構造を解明したワトソン博士のゲノム情報が一般に公開された。ある特定の個人のゲノムが公開されるとは、珍しい話だ。)


「3.生活者の視点の重視」

「生活者の視点」というくくりで言うならば「QOL向上」を目指した新薬の開発が数年前から加速されてきた。
「重病」とは言えないが、生活の質という立場で考えると本人にとっては「深刻な悩み」を解決するための薬だ。
今後は高齢者社会が加速度的に進むので、ますます、製剤的な工夫やDDS等の製剤化技術とともに基礎研究も[
生活者の視点に立って」進むことだろう。


「4.多様性を備えた変化と可能性に富む社会への変革」

新薬の開発は国際化して、世界同時開発になってきたとは言え、製薬会社そのものは、日本の場合、まだまだ多様性を持っているとは言えない。
もちろん、外資系の場合、会社のトップに外国人が多いが、一般的スタッフにはまだまだ受け入れが少ない。
僕の感覚ではアジア系の人たちが、最近、社内に多くなってきた、という会社が多い気がする。
いずれにしても、まずは、自分たちの世界を多様化させ、異質な文化同士がぶつかりあいながらブレークスルーを打ち出していく、というあたりを目指していけばいいな、と思っている。


「5.「出る杭」を伸ばす等人材育成が最重要」

さて、最後の項目はもっとも重要で、かつ、「う〜〜〜ん」的な問題だ。

ベンチャー企業はそもそも、会社自体が「出る杭」なので、その中で出る杭が自然発生的に育つ風土がある。
問題は「大企業」だ。

僕の治験活性化計画」にも書いたが、製薬業界も歴史の長い、成熟産業だ(IT業界などに比べたら)。
ずいぶんと「一人ひとりの意識の中にある見えないタテの壁、そして大学、企業、府省等々どこの組織にもあるタテの壁」があると僕は思う。
また、これからの治験や新薬の世界同時開発を目指すとき、もっとも重要なことは「社会に存在する変化を拒む様々な壁と抵抗を撥ね退けてイノベーションを起こす」ことだ。

治験の活性化に頑張る製薬業界が目指すべき『イノベーション25』は10−20年を見据えれば、すべては人つくりなのである。

まぁ、これは製薬業界だけでなく全ての産業で言えることだけど、「人材」こそが「会社」なのだ。
もちろん、その人材に「あなた」が成って悪い理由はない。いや、あなたこそが「人材」になるべきなのだ。

出世や報酬などを忘れて仕事に没頭することが好きな『ひときわ異彩を放つ“出る杭”』のあなたがた、皆さんが、これからの20年を創造していく主役であることだけは間違いない。


2007/06/02


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治験をライフワークにする


「治験をライフワークにする」と言っても、何も、「ここ10年間、ずっと治験に参加しています」とか「今、月に3本の治験に参加しています」というものでは、もちろん、ない。

僕自身、1999年まで、自分が治験をライフワークにするとは思っていなかった。(「医薬品ができるまで」を立ち上げたのが2000年の6月だ。)

ライフワークって、そんなものなんだろう。

始めた当初は、まぁ、軽い気持ちでやってみるか、というのがきっとライフワークなのだ。
ライフワークにするぞ!と始まったライフワークって、無いと思う。

手塚治虫の「火の鳥 」とかジョージ秋山の「浮浪雲 」とか水島新二の「あぶさん 」とか(マンガばかりというのが、何とも、いやはや)、連載を始めた時から「こいつをライフワークにするぞ!」といったものではなかっただろう。

長い年月をかけ、気がついたらライフワークになっていた、ということだ。



今年入ってきた新入社員のうち、何人くらいが治験をライフワークにすることだろう?

今年だけで、日本全国で、多分、1000人近いひとが新たにモニターとして、また、CRCとして働き始める。

「新薬開発の現場」「臨床試験の最先端」と言うとカッコよさそうだが、もちろん、カッコいいばかりではない。

地道なデータチェック、煩雑な手続き作業。

創薬ボランティアとのコミュニケーション、出張に次ぐ、出張の仕事。(しかも、今では、出張先のホテルでも仕事が出来るときている。)

社外以上の社内での人間関係とストレス。


でも、楽してお金がもらえるだけなら、多分、これだけ多くの人が治験に携わってはいないだろう。

治験の仕事には治験の仕事ならではの魅力があるから、多くの人が、ずっと治験に関わっているのだ。



どんな職業でもそうだが、その道を極めた人というのは、輝いている。

今、新入社員たちは、不思議なことに、そういう「この道10年」というベテランモニター、CRCと負けないくらい、目が輝いている。

どうか、その目の輝きと心のワクワク感、ドキドキ感をずっと忘れないでいて欲しい。


もしも、仕事がダレテきたら、思い出そう。この治験薬の先に待っているものを。

治験の仕事はライフワークに値する仕事だと、僕は思う。


2007/05/26


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『オーバークォリティ』を考える


先日、社内の研修で「今、オーバークォリティが治験の問題点として注目されている。」と発表したら(発表は僕ではなかった)、ある若手モニターからこんな質問が出た。
「日本の治験は質が低い、と言われているのに『オーバークォリティ』が問題というのはどういう意味ですか?」

なるほど、ごもっともな質問だ。

僕も以前、「モニターとCRCの勉強方法」(http://www.geocities.jp/cra_crc_study/)の中で、こんなことを書いたことがある。


===「モニターとCRCの勉強方法」からの抜粋 ===

日本の治験の質は低い。
この「治験の質」という言葉を書くと自動販売機のように「日本の治験の質は低い」という言葉が出てくるほどだ。

日本人気質から言うと、細かいことに気を使いそうだが、こと、治験に関してはそうはいかない。と言うかベクトルの向きがちょっと変だ。

何故か?(何故だろう?)

===========================


この「ベクトルの向きがちょっと変だ」がミソです。


「日本の治験の質は悪い」と言ったときの質というのは「プロトコルやGCPの遵守状況」や「データの信頼性」を指していることが多い(と僕は思っている)のですが、今、問題となっている「日本の治験の『オーバークォリティ』」というのは、どちらかというと手続き論的なものが多い(と僕は思っている)。

例えばGCPでは治験薬の管理責任は医療機関の長が担っており、管理を委託するときは治験薬管理者(原則、薬剤師)というのが記載されています。
すると、どうなるか?

ある会社では「治験薬の取り扱い手順書」を一度、医療機関の長に提出しないといけない、と決めているところもあります。
もちろん、GCPの条文を四角四面に解釈すれば、そうなのでしょうが、実際は病院長がそんな手順書を見るわけもなく、治験薬管理者に直接「治験薬取り扱い手順書」を提出した、とモニタリング報告書に記載されていても、僕は全然、問題ないと思っています。
しかし、それではだめで、一度は必ず病院長に提出すべきで、それがモニタリング報告書に記載されていないといけない、と考える方もいらっしゃいます。


「ベクトルの向きが違う」というのは、このあたりではないでしょうか?


僕はこのこと(治験薬取り扱い手順書を直接、治験薬管理者に渡すこと)が、創薬ボランティアの人権、安全、福祉の保護に影響するとは、どうしても、とうてい思われません。

むしろ、こんなこと(「医療機関の長」に提出するプロセスを必ずモニタリング報告書に書かないといけない、などということ)ばかりにモニターが気を使って、なおかつ、時間もとられて、汲々としてSDVが満足にできない、というほうが、ずっと創薬ボランティアの人権、安全、福祉の保護に影響を与え、ひいては新薬の上梓が遅れて、そのことで患者さんの苦しみが1日でも伸びることのほうが、非倫理的だと思います。

GCPの本質を考えていきたいところです。


また、企業と総合機構の担当官に間にヒエラルキーがあるのも『オーバークォリティ』の一因だと僕は見ています。

なにも、担当官が(人間ですから、もちろん、)常に正しいわけではなく、実地調査や書面調査で疑問に思ったことを口にも出すのは当然です。(僕だって口に出します。)

そんなときはその質問に答えればいいだけです。


かつて、僕がフランス系外資製薬会社にいたときに機構の担当官から「臨床監査部がR&Dの中にあることについて「監査の独立性」ということを踏まえて見解を述べよ」みたいな指摘(正式な紙での「疑義事項」として)されたことがあります。

そのとき、僕らが答えたのは監査部門が臨床部門と同じR&Dに所属していてもSOPできっちりとモニター部門との独立性を謳っており、事実、監査がモニリング業務を行うこともない」旨の回答書を出して、了解を得ました。
ところが、次の調査でも同様の指摘が紙できましたので、これまた、同様に答えました。
そして、次の調査では指摘される前にこちから説明しようと、実地調査の最初に「監査部門の独立性について」というセッションを設けたのですが、機構の担当官から「あ、それはもういいです」と言われました。

自分たちはこういう理由でGCP上、問題無いと考えるのならば、それを最初から貫くべきだと思います。


なにも、機構の担当官も新薬の開発の邪魔をしたくて仕事をしているわけではないはずです。
(社内のQC部門や監査部門もまたしかり。)


創薬ボランティアの人権、安全、福祉の保護のもと、治験データの科学的な質と信頼性を確保する、ということは何をどこまでやればいいのか、もう一度(機構や当局に頼ることなく)「自分の頭」で考えるべきではないでしょうか?

そして、その自分の頭で考えたことを正しく主張していきましょう。


社内的にも、社外的にも「自分の頭で考える」自立した社員になりたいものですね。

2007/05/19


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頼るな!


新たな治験活性化5ヵ年計画」が発表され、また「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」も出た。
新たな治験活性化5ヵ年計画」について、ホーライ製薬のトップページで「期待しているかどうか」のアンケートもとっている。

僕はこれらの計画、戦略にとても期待を寄せているのだが、頼ってはいけないと思っている。

「危機感」を持つべきは行政よりも本人(製薬企業)だ。(言うまでもないが。)

制度がなっていないとか、GCPが非効率的だとか、それは分かるし、無駄だと思うことは是正もする必要があるだろう。
(ただし、どんなに無駄なように見えても創薬ボランティアの安全性を確保するためのものは、きちんと残す。)


創薬を促進するように税制面や薬価面で考慮してもらったり、大学等の基礎研究が速やかに応用されるような仕組みも必要だろう。


ただし、最後にものを言うのはやはり「自力」だ。


GCPの必須文書が今の3分の1になったところで、そうそう「画期的な新薬」が産まれるものではない。
自社のモニターの熱意が急に上がるわけでもない。(労力が減れば、ホッとはするが、それと熱意は関係無い。)


新薬が生まれる難くなった原因の一つとして、残された疾患はそもそも治療が難しい、ということがある。
抗体に関連する薬では思わぬ副作用が出る可能性もあり、ますます、創薬プロセスで、検討すべき項目は増えるだろう。
併せて、治験のデザインも複雑になり、モニターは事務作業は減るかもしれないが、モニタリング業務そのものはますます大変になることも予想される。

僕たちは「自立した産業界」にならないといけない。製薬業界は「護送船団」(古い言葉だが)に成り下がってはいけない。


いくら国際共同治験がやりやすくなったとしても、そもそも、その治験をやるべき「新薬の卵」が無いと始まらない。
そして、それは「自力」でなんとかしないといけないのだ。(他社と提携するなり、ベンチャーを買収するにしても、自らが決断し、自らが動かないといけない。)


新たな治験活性化5ヵ年計画」に期待もするし、GCPが簡略化されモニターの事務手続きが減り、本来のモニタリング業務に専念できるようになれば、それは嬉しいし、好ましいことだと僕も思う。

でも、それと「頼る」か「自力でいくか」とは、また別の話だ。


あまたの組織にもいませんか? 物事がうまくいかないと、すぐに他人のせいにするひとが。


2007/05/04


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やるべき人はGCPを覚えること


新入社員の研修の2週間目が終わった。

23日(月曜日)から27日(金曜日)の一週間で、スイッチが入った新入社員が出てきた。
その一方で、少しダウン気味の新人もいる。

この1週間では、GCPの各条文を治験の流れに沿って教えた。
今年は3ステップ方式というやり方を考えて、その方法で教えてみた。

まず(ステップ1)、大まかな治験の流れと、それに関連するGCPを教える。
このステップでは治験施設の調査、選定、IRBでの審議、契約、治験薬交付、創薬ボランティアの登録、SDV、終了、総括報告書の作成、というように、本当に大雑把に教える。

次に(ステップ2)、もう少し細かく治験の流れと関連GCP、それに付随するポイントを教えた。
この3ステップ方式では、このステップ2がメインとなる。
2日間の研修のうち、このステップ2にほぼ1日かける。
他のステップがほぼ半日ずつだ。

そして、最後に(ステップ3)、もう一度、治験の開始から終了までを、復習を兼ねて教える。


新入社員たちは、噂には聞いていたGCPの全貌に、最初は愕然とする。(あまりにも量が膨大な上に内容が細かいので。)

ところで、この3ステップ方式の良い点は、まず、治験の全体像を頭にいれ、徐々に詳細な地図を完成していく点だ。
(世界地図の見方を教えるときに、まず、地図の上が北、下が南であることを教える。いきなりイタリア半島を詳細に教える人はいないだろう。)

もう一つの利点は、大事なことを繰り返し、繰り返し学び、できるだけその場でGCPを理解し、覚えることができる点だ。


こうして、自分たちがやることになるモニターの仕事が分かってきたわけだ。

そうなると、俄然、研修に身が入る人がでてくる。
これまで漠然としていた自分の仕事(モニターの仕事)が、ぼんやりとだが、つかめることができ、具体的な目標を立てられるようになるからだ。

研修中に質問する人が増えてくる。
顔つき、目つきが変わってくる人がでてくる。


研修の最後に毎日3人ずつ「今日学んだこと、感じたこと、これから自分は何をしないといけないか」というスピーチをやってもらっている。

この中である受講生がこう言っていた。「GCPのこの本はまるまる1冊、創薬ボランティアの人権、安全、福祉を保護するためにあることが分かった。」と。


そうなのだ、そんな重要なGCPを知らないモニターが万が一いたら、そういうモニターもどきは外に出せないのだ。

だから、繰り返し、繰り返し僕らはGCPを教える。
規則が多すぎる、手順が煩雑だ、ICH−GCPに比べると必須文書が多い、など、今のGCPにはそれなりの問題も含んでいるが、そのGCPを覚えるところからしか、今の日本で治験を行うことはできない。


「治験のあり方検討会」メンバーの人たちにも、是非、今のGCPを覚えてもらいたいぐらいだ。


2007/04/29


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新人たちに伝えないといけないこと、伝えたいこと


新入社員の研修の一週間目が終わった。

しかし、彼ら・彼女らはまだ治験の本当の「怖さ」と「素晴らしさ」を知らない。
彼ら・彼女らはまだ、厳しく個人の倫理観が問われる治験を知らない。

ときに油断をすると創薬ボランティアの安全性を脅かしかねないプロトコル逸脱が多発することを知らない。
モニターのちょっとした怠け心、甘えにより、治験が根本から崩れ去ることがあることも知らない。
少なからずの治験薬がプラセボに負けて、開発を中止することがあることも身に沁みて分かっていない。

彼ら・彼女らが夢見ているのは「夢のような新薬の開発」に携わる自分だ。
もちろん、その夢を無残に砕く必要はないが、かと言って「甘い話」ばかりもしていられない。
世間ではGCPをきちんと守ってくれる治験責任医師と治験分担医師ばかりではないことを知らないといけない。
また、GCPすら満足に教えられずに現場に出される不幸なモニターやCRCも皆無ではないことを知らないといけない。

しかし、そんな危うさも持ち合わせた治験の面白さ、素晴らしさを伝えることもまた必要だ。
僕たちが携わっている治験は科学の真理への一里塚でもある。
想像以上に美しい結果が出る治験もある。
今まで不治の病と言われた病気に一縷の光が差し込むこともある。
そして、僕たちモニターやCRCは常に夢の途中を歩く職業であることを教えてもみたい。


僕が今、やっている導入研修の2週間目はいよいよ1つの山場を迎える。
GCPの解説を二日間に渡って行う予定だ。
GCPの根底に流れるヘルシンキ宣言の精神や創薬ボランティアの辛い立場を教えながらのGCP解説になる予定。
それでいて、可能な限り、研修中にできるだけ多くのGCPの条文と注意点を教えなければならない。(そうなるように研修のプログラムを作るのも、実は一苦労なのだが。)

そして、そんな研修を通して僕が求めているのは「触れたら火傷しそうな熱い魂」を持ったモニターの発掘だ。
今年はそういうモニターが何人が育ってくれるだろう?

去年の新人モニター(今年で2年目)が、今年の新人モニターに治験の醍醐味や辛さ、面白さを伝える場面を見たのだが、とっても嬉しかった。
あれから1年しかたっていないのにね。きちんと成長してくれていることが垣間見られた。


僕ら、講師の仕事で最も大事なことは、自分(講師)を難なく超えていくモニターを育てることだ。
そして、夢の途中を一緒に歩いていく旅人たちと巡り会うことだ。

この醍醐味がまた楽しくて、今年も講師をやっている僕なのでした。


2007/04/21



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どんなモニター、CRCに育てたいか?

新入社員が入って2週間が経ちました。
新人の皆さんは、そろそろ緊張も限界にきて、疲れていることでしょう。


新入社員を向かい入れた先輩社員はどうですか?
導入研修やOJTは進んでいるでしょうか?


この導入研修やOJTでとても大切なことがあります。
それは、自分たちの会社では、どんなモニター、どんなCRCに育てたいか? というポリシーです。

「どんなモニターに育てたいか?」ということを僕の周囲2mで聞いてみました。(母数2人)


一人は「仕事が好きになって欲しい。モニター業務が好きなモニターにまずはなって欲しい」ということでした。
もう一人は「他社より、2倍、3倍、働くモニターになって欲しい。もちろん、働いている時間が2倍、3倍ということではなく、効率よく、手際よくモニタリング業務を行うことができるモニターに育てたい。」ということでした。

僕は、ずっと言っていますが「新薬を一日でも早く世に送り出せるモニターを育てたい。」です。

みなさんはどうですか?
教育研修の担当者でなかったとしても、どういう人材を育てたいと思いますか?
この意識を持ってOJTや日常業務で新人に接するかどうかで、新人たちの将来が決まります。


保守的に、きっちりと、大事をとるモニター、CRCに育てたいのか。
活動的で、積極的で、次々にアイディアを出すモニター、CRCに育てたいのか。
この両者では先輩たちの取るべき行動も大きく違ってきます。

ただ、僕自身を振り返ると、自分がモニターをやっていた時にOJTで新人モニターを施設に同行させたり、資料を作ってもらったりしましたが、あまり、この「どういう人材に育てるか?」ということは考えていませんでした。

自分がそういうことを意識せずにOJTや日常業務で新人と接すると、普段、その先輩が潜在意識の中で「こうあるべきだ」という行動、言葉で新人たちを知らず、知らずのうちに、ある特定の考え方、行動方法を伝えていることになります。
では、その知らず、知らずのうちに伝えているものは何かと言うと、それが組織、会社のカラー、社風です。


先に述べた、僕がモニターをやっていた会社は、その当時のマネジャー、部長、本部長はもちろんのこと、僕が受け持った(当時)新人も含めて、今では多くのひとが自分で「起業」しています。
(僕が受け持った新人も、ある治験関連会社を立ち上げ、成功しており、嬉しい限りです。)

きっと、そういう社風だったのでしょうね。

積極的で、果敢で、減点主義ではなく、得点主義で、自立的で、それでなおかつ、負けず嫌いで、自己顕示欲が強い、そんな感じの会社でした。

新入社員もその空気を吸って育ったものですから、「上司を上司とも思わない」アグレッシブな人材になっていったわけです。

もし、あなたが自分の組織、勤めている会社を変えたいと思ったら、時間はかかりますが、新入社員の考え方、行動パターンを変えるのが一番、確実です。

いずれにしても、新入社員がどういうモニター、CRCに育ったとしても、その責任の半分は先輩たちにあると、僕は思います。


みんな、準備はいいかな? いくぞー! オー!

2007/04/14


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企業倫理と治験の倫理

治験と言えば、まず真っ先に新入社員が習うのは「倫理」についてだろう。

そもそもGCPにこうある。「1) 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行われなければならない。」

治験は「倫理的原則」を遵守しないといけないのだ。



ところで「企業倫理」という概念もある。
日本経済団体連合会が「企業倫理徹底のお願い」等というのも出している。
   ↓
http://www.keidanren.or.jp/japanese/news/announce/20060919.html


この上のページを見ると分かるのだが「企業倫理」というと「コンプライアンスの浸透と徹底」というように「コンプライアンス」という言葉が必ず出てくる。

通常、この「コンプライアンス」とは「法律・規制の遵守」という意味で使われる。(医薬品業界、特に医療の現場で「コンプライアンス」という言葉を使うと「薬の服用率」を指す事があるので、新入社員は、この際、覚えておこう。)


では、法律を守っていれば、それで「倫理的」と言えるか、というとそうでもない。
例えば、麻薬に指定されていないが、それに類似する作用を発揮するモノを販売したら、それは直ちに法律違反ではないが、「倫理的ではない」だろう。
逆に、例えば「人種」によって仕事を差別する法律が仮にあったとして、それを守らずに「人種」による差別を無くし、公平に扱うマネジャーがいたら、それは法律違反だが、「倫理的」と言えるだろう。


もし、企業が起こした事故を隠蔽したり虚偽報告をするというのが仮に法律違反にあたらないとしても、それは「倫理的」と言えるだろうか?
もちろん、言えない。

会社ぐるみでそういうことをやっていたら、その会社は信用を失墜し、社会的に制裁される、と思っているが、最近はそれもどうかな?と思い始めている。


ところで「治験」の場合だが、治験で倫理の話になると「インフォームド・コンセント」とか文書による同意とか自発的意思による治験への参加、ということが思い浮かべるが、もちろん、治験における倫理的基準はそれだけではない。

例えば、副作用が発生したら、それを必ず創薬ボランティアに伝えないといけない。
また、治験全体で言えば、有効性だけでなく、有害事象のデータも全て集めて、そのデータをもって、新薬の承認審査を受ける。


人間の命に直接関わる薬のことだから当たり前と言えば当たり前だが、製薬会社から見たら「不都合」な「有害事象」(薬との因果関係を問わない)のデータを全て集めて、それを報告するというのは、とてもいいシステムだと思う。
だけど、そのシステムがどこかで壊れていたら、とても残念な話だ。


一般消費者から見て、「倫理的」というのは、こちらが考えて、やりすぎくらいが丁度いいのかもしれない。
間違っても、「認識が甘かった」とテレビの前でシャチョーが謝らなくて済む。と言うか、謝る、謝らないに関係なく、その事実が広く知れ渡る、渡らないに関係なく消費者の安全を守るのにやりすぎはないのだ。

企業の中で「倫理的」行動の見本、手本を新入社員に見せるのがマネジャーの仕事だ。それも、最も重要な仕事だろう。


「機体の点検・整備に対して認識が甘かった」という飛行機が有ったら、僕ならそれには絶対に乗りたくない、と思うのだ。(違うかな?)



2007/04/07



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