医薬品ができるまで  / ホーライ製薬 / ハードボイルド・ワンダーランド日記

ホーライの治験日記(11)

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2006年のおさらい『ドラッグ・ラグ・ブーム』と総合機構

例年のように今年(2006年)を振り返ってみる。

最近、よく目にする言葉『ドラッグ・ラグ』

いい言葉ではないが、それでも、そういう状況が日本の現状であることを認識させ、世論を味方につけることの力を今更ながらに認識させてくれた。(特にに役所や永田町でウケがいい。何故、そう いう言葉が生まれたのかも正視しないでね。)

僕たちはこの『ドラッグ・ラグ・ブーム』を逃がす手は無い。(もちろん、ブームが一過性でないように願うと同時に、こんな言葉が二度 と生まれないように努力し、二度とこんな言葉がムードで語られる時代が来ないようにする必要はある。)


僕の部屋の壁に(煙草のヤニで茶色に変色したが)2000年のある日の朝日新聞の切抜きが貼ってある。
それは、自分が「がん」になったある医師が日本以外で標準的に普通に使われる抗がん剤が日本では使えないことを、訴えた記事だ。

その後、こういうことを契機に「医師主導型の治験」が制度として、認められた。
企業努力が少ないと言われれば、「はい、確かにそうです」と僕は言いたくなる。


また、今年のもう一つブームなのが『世界同時開発』や『アジアンスタディ』
これも、日本の新薬開発が日本以外の国と比べて数年も遅れていることを反映して出てきた言葉だ。


しかし、こんなブームやムードの中、実は着実にその組織を自ら変革しているところがある。

それは民間企業でも大学でもなく「総合機構」だ。
たまに総合機構のサイトを覗くといい。(CRCの方はモニターに比べると若干、なじみが薄いかもしれませんが、これを機会に是非、時 々覗いてください。)

http://www.pmda.go.jp/


総合機構も製薬業界からの不満を今更ながらに、解消しているだけだという声もあるだろう。
しかし、その不満を解消するのがいかに大変かは、同じように組織に属している僕にはよく分かる。

なんなら、来年も今年と同じコトを踏襲していけばいいや、という組織人は、民間企業の中にも多い。
何を隠そう、実は「前例主義」は何もお役所の専売特許ではない。
30年以上の歴史がある組織なら、まず、間違いなく、保守的な人はいる。

(僕も最近になって驚いたのだが、まるで自分の肩書きが自分の人格だと言わんばかりに「それは認めない!」と言われた。そこには論理も、理屈もなく、「ただ、俺の言うことに従え」という前代未聞の(僕にとっては)体験だった。僕は面白くて、その尻馬に乗り、もう、 新しいことはこの会社では一切やらないでおこうと思ったのだが(そのほうが、僕も楽だしね)でも、どうも悪い癖はなかなか抜けなくて、影でこそこそと、新しいやり方をさっさとやっている。もちろん、会社の上層部の目の届かないところでね。……とここで書くと、社内でまた何か言われそうだが、そんなことは『馬耳東風』)



話は横道にそれたが、総合機構の活動、特に「新医薬品に係るGCP調査の進捗状況等の確認について」医薬品医療機器総合機構 信頼性保証部長 については感動すら覚えた。
こんなこと、一昔前の当局では考えられない状況だ。
 ↓
http://www.pmda.go.jp/shonin/GCPshinchokukakunin.html


……と言うことで、最近の総合機構の動きは評価に値する。(審査のポリシーも検討しているらしい。)
予算や人材の少ないなか、頑張ってください。応援します!



また、個人的には今年の夏からの母親の「製造販売後臨床試験」への参加が僕にはインパクトがあった。
地味な臨床試験なのだが、その参加打診から、結局、副作用(高度な倦怠感)で辞めることになった経緯を僕は母を通して実体験した。


普通の日本人なら、きっと思っているだろう、治験やら臨床試験への印象と、そこに参加することの不安、それを救ってくれるCRCの方の活動、医師の真摯な態度への共感、そして、自ら参加を決意しながら、これまた副作用のためとは言え、自ら試験を辞めたいと言うことの困難さ、これら様々なことを体験でき、そして考えた。


普段、たとえば目標症例数1200例、などという臨床試験、治験と関わっていると、その1200人の個人個人のことは、その数の向こうに影がカスム。

「高度な倦怠感」という事象はつかめるが、その人の「なんぎってば」(新潟弁で「疲れた」とか「体がだるい」)という言葉を直に耳に することはない。

僕はこの経験をまた、来年度の新入社員の導入研修で生かしていきたいと思った。(ついでとは言え、なんですが、新たに教育研修部に参加されたIさん、頑張ってください。期待しています。僕も、自分の持っているノウハウをあなたに伝えていきたいと思います。)



最後に……。

吉田拓郎とかぐや姫のメンバーが31年ぶりに「つま恋」でやったコンサートでは、最後に観衆が一つになって「今日まで、そして明日から 」を唄った。(最近、和田アキ子 も唄っている。


「私は今日まで生きてきました、そして、今、私は思っています、明日からもこうして生きていくだろうと。」


25年前、大学の友人とこの歌をボロアパートでギターを弾きながら一緒に唄ったのだが、その友人が今年の年頭に肺がんで亡くなった。
ここで冥福を祈りたい。

そして、僕はこの一年間をなんだかんだとすったもんだしながら、生きながらえた。この幸運に感謝したい。

2006/12/23


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市販後臨床試験に参加した母のその後

2006/08/26付けの日記でも紹介したが、僕の母がある市販後臨床試験に参加した。
その後、母がどうなったのか、近況報告です。


母がその臨床試験の薬(ダブルブラインド、対照薬も実薬)を使い始めて3週間位したところから、体がだるいと言い出した。
その薬のせいかどうかはよく分からないが、その薬を飲んで1時間ほどすると、体や足がだるく、重く感じて、横になることもしばしばあるらしい。
かなり高度な倦怠感だ。

その話を電話で聞いた僕は、試しに、その臨床試験の薬を飲まないで1日様子を見るように言った。
すると、その後の母の報告では「飲まないと調子がいい」とのことだった。
そうなると、たぶん、因果関係が疑われるので、もし辛くてその薬を辞めたかったら、医師に言うように僕は母に助言した。

しばらくして、また連絡が来たので、どうしたか聞いたら、とりあえずCRCの方に相談したらしい。
すると「私から薬を減らすようにというような指示を出せないので、担当の医師に相談してください」とのことで(そりゃそうだ)、医師に相談したらしい。

医師はもうしばらく様子をみてはどうか、と言われたそうだ。

で、結局、今日(2006/10/29)現在、母はまだ倦怠感を感じつつも、薬を服用している。
とりあえず、来月の通院までは続けたいと言っていた。

普段の母なら、普通の(治験や臨床試験でない)薬を服用していて、そのような有害事象を感じるとすぐに薬の使用を辞めるのだが、今回はやっぱり特殊らしい。

まず、CRCの方にも親切にしてもらっているので、辞めるのは悪い気がする、と思ったらしい。
次に、臨床試験で副作用を自分が訴えるのは、その薬のために良くないデータだから、言わないほうがいいのではないかという遠慮も感じているようだ。
(交通費の1万円をもらっているのも少し気にしているようだ。)


僕としては本人が続けるというのを無理に止めることも良くないと思い、もし、本当に辛くて辛くて辞めたくなったら、遠慮せずに医師に申し出るように母に言った。
有害事象のデータも貴重なデータであり、他の患者さんのためにも必要なデータだから、変に気にしないように伝えた。


このように、患者さんが治験や臨床試験に参加した時の心理状態が複雑だとは、僕は思わなかった。

そんなこともあるんだな、とたまには皆さんも思ってください。


2006/10/29


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大学3年生の皆さんへ(悪魔の囁き)

先日、会社の人事部の人に聞いたら薬学部等の就職活動は大学3年生の学生を対象に、この9月か10月頃から(もう)始まるらしい。

そこで「大学3年生の皆さんへ(悪魔の囁き)」です。
そして、治験の世界へ誘う悪魔の囁きは、治験に関わる仕事の魅力から始まります。


大学3年生と言えばだいたい20歳を少し出たくらいだよね。
これまであなた(きみ)は、どれだけの薬を使ったことがある?

風邪薬、鎮痛剤、胃腸薬、目薬、抗生剤、ひょっとしたら麻酔。


こういった薬がどうやって世の中に出てきたと思う?
いきなり、ポンと薬が突然、地上に舞い降りて、出現したと思う?


2006/09/02

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母が市販後臨床試験に参加した

母がつい最近、ある市販後臨床試験に参加した。

すぐに参加することを決めたわけではない。


まず、実家から電話で僕に「治験の話を聞くことになった」という電話があり、「聞くだけは聞く」程度のことだった。
その治験の話を聞いたあとで、また僕に電話があり、「既に使っている薬の試験だった。」ということで、市販後臨床試験のことだと判明した。
ただ、担当医からは「治験の話」と聞かされていたようだ。
まぁ、普通の人からみたら「治験」も「市販後臨床試験」も変わらないわけで、それなら、短い単語の「治験」のほうがいいか、ということかな。


さて、ここでの父と母の反応が興味深かった。

僕の両親は息子が治験関係の仕事をしているから、普通の人よりは治験に興味がある(少なくとも、息子の食い扶持として)のだが、それでも実態はよく知らないわけだ。


電話の向こうで同意説明文書を読んでくれた父は、最新の治療を受けられるので参加したほうがいいと思ったらしい。
さらに、今は普通の医局の医師が担当医だが、もし、この試験に参加したら部長の医師が診てくれる、というのも気に入ったようだ。(なるほどね、と僕は思った。)


母は「気持ちが悪い」とまず思ったらしい。いわゆる人体実験のモデルにされると感じたのだ。
当の本人にしてみれば、これが正直なところだろう。

次に母が感じたのは「検査」が増えたら嫌だな、ということだった。

電話では埒が明かないので、夏休みに帰省した僕が、じっくりと同意説明文書を読んで解説してあげた。
もちろん、僕のスタンスとしては、参加しても参加しなくてもいいというものだ。
(その試験に参加しなくても、通常の治療で問題ないことも、僕にそう思わせた。もし、これがその試験薬しか治療が期待できない、となれば、強く参加を促していただろう。)


僕の説明を聞いていた母が「おまえのためになるなら参加しようか」と言うので、(残念ながら、僕の会社とは関係の無い治験だったので)「それはないけれど、まぁ、日本の医療の進歩のためにはなるかもね。」と言った。



結局、母がこの市販後臨床試験に参加することを決めた理由は次のものだ(と、僕は推察した)。


・試験薬は既に一般的に使われていて、かなりの年月がたっており、ある程度、安全性も有効性も分かる。(これで「人体実験」ではないと判断)

・ダブルブラインドの試験だったが、対照薬も実薬なので、いずれにしても治療効果が期待できる。

・検査は通常の診察以上に大きく増えることは無いことが分かった。

・負担軽減費として1万円がもらえる。(初回の1万円で、母はさっそく、秋のブラウスを買いに行った。^^;)

・CRCの方が優しそうないい人だった。(と母は言っていた。)


と言うことで、76歳の母は「訳の分からない、気持ちの悪そうな」市販後臨床試験の同意説明文書に、どきどきしながら署名した。(この「署名」という行為も母には「大変なこと」に参加するというイメージを植え付けた。)


きっとCRCの方に「うちの息子も治験の仕事をしている」と親バカぶりを発揮していると思うので、そのときは母の担当のCRCの方には申し訳ございませんが、我慢して聞いてやってください。


試験に参加すること決心したあとの母は、今度は結構、その試験(と負担軽減費)を楽しみにしているような口ぶりだった。

僕に似てお調子者の母なのでした。


2006/08/26

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CROに転職して思ったこと

ずっと長い間、製薬会社でモニターの教育担当者をやってきた。

今は、CRO(2社目)だけど、製薬会社のモニターに要求される教育とCROのモニターのそれとでは、この差は大きい。


ところで、製薬会社の製品は何だろう?
もちろん、「薬」「医薬品」などだ。

製薬会社では治験の進捗状況はともかく、実際の決算に影響するのは「今、売っている薬」だ。
もちろん、新薬が出ないと製薬会社も将来的には困るので、盛んに臨床開発のモニターにもはっぱをかけているが、それでも、取り合えず、明日の飯を食うための種は「今、売っている薬」だ。


それに対して、CROの製品(商品)は何だろう?
例えば治験のモニタリングを受託していたとしよう。
そうなると、CROの製品(商品)は症例報告書(CRF)だ、という考えもある。


しかし、僕が思うには語弊があるかもしれないが(反対意見があるのもじゅうじゅう承知の上で言うならば)、CROの製品(商品)は「モニター」の皆さんだ。


将来的な話ではなく、CROの明日の飯の種はモニターの皆さんの働きにかかっている

CROのモニターの皆さんはクライアント(治験依頼者=製薬会社)にまず受け入れてもらう必要がある。
いくらCROの社内でモニター任命を受けていても、クライアントとの面接で合格しないと「仕事にならない」。

CROは社内にいるモニターの人たちにクライアントから受託した仕事をやってもらって、お金をもらっている。
CROは、何か、モノを作って、それを直接、売っているわけではない。

クライアントからCROに支払われる代金はほとんどが、このモニターの人件費である。

もし、クライアントから「あのモニターは外してください」と言われたら、CROにとってはそのモニターの人は、言葉はムチャクチャ悪いが「不良債権」になってしまう。(このあたりは、製薬会社の中でも似た現象があることを僕は知っているけれど、絶対的に、CRO内でのほうが、厳しい扱いになる。)



製薬会社は薬を売ってナンボ、の世界だが、CROはモニターが働いてナンボの世界だ。

だから、実はCROの製品(商品)であるモニターを磨くための「教育担当者」の存在理由は製薬会社の中のモニター教育担当者の比ではない。
それだけ、厳しい目で教育担当者も見られるわけだ。


モニターという「人材」が文字通り「人材」として評価されるCROで鍛えられたモニターとモニター教育担当者は、どこへでも転職可能だと思う。(そうでない人も、もちろんいる。どこの世界でも同じだ。)


だからと言って、製薬会社のモニターの皆さんが大変じゃないとは言わないが、僕のこれまでの経験から判断すると、やっぱり、社内のモニターよりも「契約ベース」で高い金を払っているCROのモニターへの要望は自社内のモニターよりも厳しい(当然だ)。


僕はCROへ転職して、一皮剥けたような気がします。
そして、CROで、とてもいい経験をさせてもらっていると感謝しています。(本当に。)


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責任感は不要です、という日本

責任感は不要です、という日本です。


ついでに言うと「自分で判断させない」日本です。
何事も「自分で判断しないで」上司や組織に伝えて判断を仰ぎましょう、という日本です。


も一つ言うと「お上が判断する」日本です。企業が勝手に判断してはいけません。

「業界一線で横並び」の日本です。

「オリジナリティや創造性、イノベーション」よりも「他社情報、ほかはどうしてる?」が大切な日本企業です。

そして「赤信号でも、みんなが渡るなら、私も渡るわ」が得意な日本人です。


学校では「個性を大切」にしますが、髪の毛の色についてはうるさいです。


こんなことに今更、突っ込んでいる人は大人気ない、という国に僕は住んでいます。



人間の尊い命が「想像力と責任感の欠如」で失われるのが僕たちの作り上げている日本です。


2006/08/06
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ようやく人材育成へ

治験推進協議会(正しい名前は忘れた)が、ようやく人材育成にも注力せよ!となってきた。

やっとだね。
そりゃ、仕方が無いさ、これまではとにかくGCPを守れる体制という枠組みを作るだけで精一杯で、そこに投入する人間は後回しだった。
もちろん、いろんな方面で「CRCの育成」は頑張ってくれていた。
なにしろ、それまでの日本には「CRC」という職業が無かったのだから。

これからは治験責任医師や治験分担医師の育成だ。

期待したい。と〜〜〜っても、期待したい。

そして、それに負けずに企業でも人材育成を今まで以上に頑張りたい。


新GCP施行直後に、僕は日本QA研究会(JSQA)で「治験依頼者へのシステム監査技法」という検討をやった。
その検討会でも、最終的に落ちつく先は「人材育成」だった。

組織(という形)とSOP(という仕組み)をいくら上手く作ったとしても、それを活用する人間が間違っていたり、教育不足だと、せっかくの組織、体制、SOP等と言う「システム」が思ったように稼動してくれない。

それを回避するためには、まずはGCPやSOPの教育だったり、ISOやQCとQAの概念を教えたり、実行してもらうための訓練をしたほうがいい、というのが、僕たちの当時のJSQAのメンバーたちの一つの結論だった。


ところで、ここで、企業の治験関連担当者への教育と病院などにおける治験責任医師、治験分担医師に対する教育は根本的に違った面を持つことを指摘したい。(もう、みんな知っていることだろうけれど。あえてね。)

企業ではモニターはGCPやSOPを知りませんでした、では、自分の仕事を失ってしまい、明日から「飯の種」を失ってしまう。

さらにはたとえば、GCP違反等で製造販売申請が却下されたら、モニター個人の問題にとどまらず、新薬を世の中に出せないことになった企業としても困る。(へたしたら潰れてしまう。)


しかし、医師は治験が本業ではないので、たとえGCPを知りませんでしたと言ったところで、明日から食べるに困ることはない。
「GCP違反でした」「ああ、そうでしたか」とならなくもない。(本当はこんなお気楽な医師は居ないのだが。もし仮に、居ても、その医師には治験を頼まなければいい。)

だから、治験を実施する医師に対しては相当強力なインセンティブが必要だ。
それも外的なインセンティブ(報酬や出世)などではなく内的なインセンティブ(知的好奇心や充実感、達成感)が持てるようにしたいところだ。

医師にとっては、すでに「医師」というだけで、世間的には報酬や地位は高いので、そんなことで医師が治験に積極的に参加してくれるとは僕には思えない。


企業における治験関係者はこの両方(外的と内的インセンティブ)を持てる点では、治験責任医師等よりは治験に積極的に関わっていく姿勢を保持しやすい。


果たして、医師が治験に積極的に関わってくれるだけの「内的インセンティブ」を見出すことができるだろうか?
・・・・・・・という問題は、誰のことでもない、僕たち製薬業界の企業が真剣に考えないといけないテーマなのだ。
どこか他人事のように考えていませんか?(自戒を込めて)


もちろん、言うまでもないがそれよりも先に「創薬ボランティア」の皆さんのことを考えないといけないのだが。


2006/07/29
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「こんなの無理」から「当たり前」へ

新GCP(死語?)が施行された当時、「こんなに細かくて厳しいのは日本の治験で無理!」と思われた。
また、旧GCP(化石?)が出たときも「患者から同意なんて取れっこない!」と思った。
所謂フェーズ1施設が出てきた頃も「え〜〜!いいのか〜〜?!!」だった。


今年の新人は今のGCPが当たり前。同意も文書が当然だ。
CROって何?から、初めからCROのモニター希望者も多い。
SMOやCRCも今では欠かせない存在だ。

いつでも、最初は無理だと思っていたことが、いつのまにかそれが当然となり、当たり前のように出来てしまう。
これはもちろん、そうなるように各治験関連の人たちが頑張ってきたおかげでもある。


ところで、走り高跳びは今では小学生でも背面飛びをやるが、昔は「理論的には最も高く飛べる方法だが、実際は不可能」と呼ばれていた。
それに挑戦した人がいたからこそ、そして、それを自分の目で見たからこそ、今では不可能が当然になった。


ひとは不思議なもので「不可能」と思っているとそれを確かめる前から諦めてしまう。


また、スキーのジャンプでは今では誰もがV字ジャンプをやっているが、この方法も偶然の産物だった。
誰かが練習中に『失敗して』V字に足が開いてしまった。
ところが、それが幸いして飛距離が伸びたのだ。

失敗をそのまま失敗で終わらせる人とそうでは無い人との差が歴然と有るのは皆様、先刻ご承知のとおり。

ときには、あえて無謀、無意味なことをやらかしてみるのもいいものです。


これからも、治験の現場では新しいこと、アイデアが出てくることだろう。
それをハナカラ駄目だと決めつかないようにしたい。

僕もだんだん年齢だけは人並みに稼いでいるので、頭が固くなってきた。
それと同時に、新人たちの言動を無闇に否定しないか、自分でも心配するようになってきた。


そうならないためにも、自分で自分の思考や行動の殻を意識して突き破るようにしたい。
老体に鞭を打たないと、だんだん、諦めモードにもなるしね。

実際に、僕は5年前に比べて実に(圧倒的に)「諦める」ことが増えた。
これを「大人になった」と取るか「問題意識の低下」と取るか「ようやくまともになった」と取るか、どれを自分で自分に言い聞かせるのが、今後の僕の課題です。

あなたはどうですか?



2006/07/22
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世界同時開発は果たして進むのか?

最近、特に耳にするようになった「世界同時開発」。
本来ならばICH−GCPの受け入れ、施行とともに進むはずだった「世界同時開発」。
しかし、現実は「取り合えず、ブリッジング試験等を利用して海外のデータも使わせてもらいます」という状態が続いている。

つまり治験は海外先行で、日本はあくまでも後回しで、海外の「創薬ボランティア」の皆さんのご協力で成り立っています、というわけだ。

はっきり言って『海外の治験に便乗しております』だ。


人種の坩堝のアメリカで治験を行い、そこで各民族の方々に創薬ボランティアとして参加して頂き、あとは民族の層別解析で有効性や安全性を確認して、承認されたら、世界のどこで販売しても構わない、としたほうがいいのではないか、と僕は考えている。


もし『本気』で日本が世界同時開発の治験を実施するつもりなら、相当、柔軟な思考回路を持つ必要がある。
何故なら、世界同時開発は日本で『前例』が無いのが当たり前だからだ。

例えば、まずは治験薬の割付、発送は全て治験依頼者(あるいは治験薬提供会社)が行うことを認める。
日本の現状では治験依頼者がダブルブラインドの割付を行うことは『好ましくない』という感じだ。
もちろん、治験依頼者がダブルブラインドの割付を行ってはいけない、という法律、規制は無い。
ただ『今までの慣習では』とか『現状においては時期尚早』という程度だ。

治験依頼者側も『これこれ、このようにブラインド性を確保する手段を講じて、自社で割り付けました』と言えばいいのだが。


次にプロトコルもCRFも全て英語(特にCRF)にする勇気が必要だ。インフォームド・コンセントの時の説明文書だけは日本語にして、あとは全て英語にする。
(世界同時開発とかグローバル化と叫ばれて久しいが、日本人の英語力を考えると、どうなのかな?と。)

世界同時開発ということは当然ながらプライマリーエンドポイントも評価方法も海外と日本で一致させないといけない。
ところが、昔、僕が一時期勤めていた外資系の会社で、『倫理的でない』とか『日本の医療環境になじまない』というような理由で、日本独自のプライマリーエンドポイントを作って治験を実施したことがある。
結果は、海外ではすんなりと承認がとれたが、日本では苦戦の末、なんとか条件付きで承認された。


・・・・・・というように世界同時開発には色々と問題が横たわっているが、一番のネックは『日本の治験の進行が遅い』ということだ。
つまり、日本が他の国の足をひっぱってしまう可能性があるということだ。


世界同時開発の掛け声をかけるのはいいのだが、本気でやるなら、まずは日本のGCPから「医療機関の長」を外すことだ。
それくらい出来ないで、世界同時開発、というお題目はカッコイイが、実は日本がネックとなる開発方法を言わないで欲しい。


周りはいい迷惑だと思っているかもね。(もうそろそろ日本から中国へと力点が移動することだろう。)

2006/07/17

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会社の利用方法

僕の中ではもうとうの昔に「年功序列」や「終身雇用」は崩壊している。(あくまでも僕自身の話ね。)
僕にとっての会社は、限りなく「自己表現の場」だ。

はっきり言って悪いが、会社に忠誠心も愛着も無い。
でも、モニター教育や人材育成は好きだ。
その教育、人材育成の表現の場として会社が有る、と僕は考えている。
これが偏った考えなのは分かっているが、それが僕の生き方としてもう定着してしまったのだからしょうがない。

もちろん、僕だって、大学を出たての頃はかわいい新入社員で、いいこだった。
でも、2年目にはもう「はみ出ていた」。
勝手に自宅を「学習塾」にして(村でたった一軒の学習塾だ)、一年後にはその収入が会社からもらっている給料と同額になった。
(今年の新入社員に「ホーライさんは『普通の会社員』だった頃ってあるんですか?」と聞かれて、「最初の一年はそうだった」と答えたばかりだ。)


僕の中では『気持ちいい』が生き方のキーワードになっている。
だから、働いて気持ちが悪いのは嫌なのだ。


会社の中で自分が成長したと思う瞬間が何度が有った。
そんな時には会社で働いていて良かったと思う。
自営業では得られない感覚だ。


『会社の利用方法』は、ひとによって色々だ。
生活の糧を得る場であったり、自分の夢を実現させる場であったり、社会貢献の場であったり、様々だ。


人類がいつ「仕事」というものを発明したのか知らないし、その意義や役割を考えたこともないが、ただ僕が生きてきたこの46年間に限らせてもらえば、仕事は「やっていて楽しむ」ためのものであり、会社はそれを提供してくれる役割を担っているに過ぎない。


あなたの会社の利用方法はどうですか?


2006/07/08

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英語をものにする
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